下呂温泉で湯ったり癒やしのひととき

「日本三名泉」として有名な下呂温泉。温泉街では若い人たちがスイーツを手に歩き、足湯を楽しむ姿があります。古き良き温泉街のあたたかさを残しつつも、新しい風を巻き起こしている下呂温泉。「体も心も癒されます」と老舗旅館の女将、滝景子さん。
温泉はもちろんのこと、自然や歴史、文化などを体験できる下呂の魅力について語ってくれました。

<この記事は、(株)岐阜新聞社と岐阜県観光連盟との共同企画で制作しました。>

訪ねた人:滝景子さん
1932年創業の老舗旅館「水明館」の女将。飛騨市古川の出身で、大学卒業後は客室乗務員として航空会社に勤務し、結婚を折りに下呂へ。きめ細やかな心配りで、日々旅人たちを迎えている。
下呂温泉で湯ったり癒やしのひととき

名高き日本三名泉、下呂温泉

約1,000年の歴史を持ち、“日本三名泉”として名高い、下呂温泉。雄大で緑豊かな南飛騨の山々に囲まれ、飛騨川の流れに沿って約50もの旅館やホテルが立ち並ぶ温泉街は、岐阜県屈指のリゾート地です。

「日本では昔から『湯治(とうじ)』といって、温泉に浸かってけがや病気を治していました。いい温泉は、疲れた体や心を解き放ってくれます。今の時代に、とても大事なこと。下呂は温泉だけでなく、美しい自然やおいしい食事もそろっていて、心身ともに癒されます」。

約90年続く老舗旅館「水明館」の女将、滝景子さんは、日々、訪れる人たちをあたたかく迎えています。

「すべすべ、つるり」アルカリ性の単純泉

「お客さまからは『とろっとして、化粧水みたい』『いつまでもポカポカする』といったお声をいただきます。お肌がすべすべになるから、”美人の湯”とも呼ばれているんです」。

下呂のお湯は、無色透明でアルカリ性の単純泉。適度な濃度のおかげで天然の石けん効果が得られ、つるりとした肌触りです。地元の人たちからも愛され、日帰り温泉には常連さんたちが集っています。

おもてなしの心が息づく温泉地

由緒正しき老舗旅館からお手頃な温泉宿、ホテルまで、さまざまな宿泊施設がそろう下呂温泉。日帰り入浴や足湯もあるので、旅の途中に気軽に立ち寄るのも一つの手。

思い描く旅を叶えてくれる下呂には、“おもてなし”の心が息づき、温泉地らしいあたたかさに出会えます。

スイーツや地元の味わいがずらり

情緒を残しつつ、新しい息吹も感じる下呂の温泉街。歩くのにちょうど良い距離で土産物店や飲食店が並びます。

「若い女の子たちがわくわくするようなスイーツを、各旅館や飲食店が考えたんです。名付けて『素肌美人スイーツ』」。

歩く先には、手軽に味わえる飛騨牛の握り寿司や牛串も。欲張ったら、すぐにお腹がいっぱいになりそうです。

足湯に花火。お気に入りの楽しみ方を見つけて

歩き疲れたら、足湯でちょっとひとやすみ。それぞれ特色のある足湯が9カ所も点在しています。

日暮れとともに温泉街の中心・阿多野通りには行灯が灯され、夜の街を照らします。例年1月~3月の毎週土曜日には、「下呂温泉花火物語」と題して盛大な花火が。宿の窓から見るのもよし、食後にゆったりと夜の街に出かけるのもまた楽しいひととき。

自然や文化を体験するエコツーリズム

「少し前は『下呂って温泉と食事だけで行くところがないんだよね』なんて言われましたが、今はそんなことないです。若い方たちが中心となって、各地区で体験型アクティビティがたくさん誕生しているんです」。

下呂市には、宿場町の面影が残る萩原、古代の神秘が詰まった巨石群のある金山、「日本で最も美しい村」連合に加盟する自然豊かな馬瀬、日本最多の滝を誇る小坂、地歌舞伎が残る竹原・上原と、多くの「宝」があります。それぞれの自然や歴史、文化を今に伝える体験ツアーは、エコツーリズムとして、地域が一体となり推し進めています。

先人から受け継ぐ持続可能な温泉

もう一つの「宝」が温泉タンクです。源泉から湧き出る温泉をタンクに集め、温泉街にくまなく巡らせたパイプを通し、旅館やホテルに送っています。

「下呂温泉の旅館のお湯はみんな同じなんです。1974年、先々代の社長たちが中心となって、全国に先駆けて温泉集中管理システムを導入しました。『豊富なお湯でさえ、乱掘はたちまち人間に手痛いしっぺ返しをする』(先々代の社長の自叙伝より)。そのおかげで、今の私たちがその恵みを受けられている。先人たちが残してくれた大切な宝物を、これからも守り続けなければと思います」。

1,000年にわたる自然の恵みが、下呂の人びとの思いと行動によって、この先もずっとつながれていきます。日中は下呂の自然を満喫し、日暮れとともに温泉街へ。旅の疲れを癒し、地域に息づく文化を感じながら、心も体もあたたまりたいですね。

旅のメモ

日本三名泉である「下呂温泉」。

湯めぐりや美味しいご当地グルメを楽しながら、先人の残した「宝」を体験してみませんか?