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体の芯まで温まる湯と川の暮らし【長良川温泉】

鵜飼で有名な長良川のほとりにある長良川温泉を旅します。鵜飼のシーズンは5月から10月です。
冬から春にかけての長良川温泉では、体の芯まで温まる温泉に浸かり、街並みを散歩するのんびり旅を楽しみます。
体の芯まで温まる湯と川の暮らし【長良川温泉】

長良川のほとりに湧く鉄分豊富な温泉

こっくりした赤茶色の長良川温泉は「単純鉄冷鉱泉」、鉄Ⅱイオンを20.2mg含有しています。源泉は無色透明ですが、空気に触れて赤褐色のにごり湯へと変化していきます。

長良川の風景へといざなわれるような露天風呂へ。含鉄泉は温まりの湯、強烈な色の印象とは異なり、やさしく包んでくれるような感触です。冷えた体があっという間にポカポカになりました。

美濃の国ならではの岐阜県産薬草風呂

平安時代に美濃国から六十二種類もの薬に使われる動植物の物品が宮中へ献上されていたそうです。

現代も続く美濃国の薬草文化をいかして、長良川温泉旅館協同組合が岐阜薬科大学と開発した薬草の入浴剤「長良川美の薬泉」を入れた薬草風呂もありました。とろりとやわらかな肌触りのお湯になり、肌の仕上げによさそう。

創業161年を迎えた「十八楼」

今宵の宿は1860年創業の宿屋「十八楼」です。部屋からはゆったりと流れる長良川の風景を眺めることができます。

宿には鵜飼の屋形船に乗るための専用地下通路があります。河原の船着き場へ直接出られる扉が大迫力。がっちりした石垣も、長良川とともに生きてきた人々の暮らしを感じます。

岐阜の名酒と子持ち鮎の塩焼き

美しい会席料理に心躍る夕食。せっかくなので、岐阜の地酒と一緒に楽しむことにします。

華やかな香りの「光琳」、フルーティな生酒「氷室」、お米のコクを感じる「三千盛」と、料理に合わせて飲み比べ。

子持ち鮎の塩焼きが熱々で登場。ぷちぷちとした卵の食感が美味しい。長良川の温泉に入っていただく鮎は、旅ならではの愉しみです。

川の湊町として栄えた風情ある街並み

楽しみにしていた長良川温泉の街歩き。川の湊町として栄えたこの界隈は、材木問屋や紙問屋などが並ぶ問屋町でした。

地図を片手にてくてくと歩き出すと、銘木店から木の香りがしたり、格子戸の奥から会話が聞こえてきたりして、川と共に暮らす人々のぬくもりが感じられます。

町屋を改装したギャラリー

赤いポストに誘われて「川原町屋」の中をのぞいてみると、ギャラリーとお土産屋さんになっていました。

手すき美濃和紙にニスを塗って仕上げる「水うちわ」は美濃の工芸品。暑い夏には、なんと水に浸してあおぐことができる職人の知恵が生きています。

築130年余の町屋で特製カレーを味わう

築130年余の建物は登録有形文化財で、入口は狭くても奥へと長い町屋造り。中庭の奥は蔵を改装したカフェになっています。

ランチは、川原町屋特製カレーに決定。スペシャルバターチキンカレーを注文しました。スパイスの配合が絶妙、辛さとクリーミーなコクが後をひく味わいです。関係ないかもしれないけれど、薬草が暮らしに根付いている美濃の国だから?などと思ったりして。

百十余年の老舗、鮎菓子の玉井屋本舗

街並み散歩を満喫して老舗の菓子店へ。「玉井屋本舗」は、岐阜の鮎菓子の元祖といわれる「登り鮎」で有名です。

店内には、中庭を眺めるお座敷もあり、季節の生菓子とお抹茶をいただけます。時がゆっくり流れていくような旅のひと時でした。

少し足をのばしてせきテラスでお買い物

少し足をのばして関市の新名所「せきテラス」へ。家で使うペティナイフを新調したかったのです。刃物会館には、関市の職人が作る様々な刃物が並んでいます。スタッフの方に特徴を教えてもらって選んだ1本のナイフ。自宅で大活躍しています。

旅人・石井宏子さん
旅行作家・温泉ビューティ研究家。日本・世界の温泉を旅して取材執筆、テレビにも出演。温泉・自然・食で美しくなる旅を研究。ごほうび温泉宿から秘湯の宿まで、いい湯を求めて一年の半分を温泉旅で過ごしています。