高山陣屋
全国に唯一現存する郡代・代官所
飛騨高山に残る高山陣屋は、江戸時代に飛騨国を治めた幕府の役所であり、現存する唯一の郡代・代官所として非常に貴重な史跡です。当時の建物がそのまま残るこの場所は、単なる歴史的建造物というだけでなく、江戸時代の政治、文化、そして人々の暮らしを肌で感じられる生きた博物館と言えるでしょう。
陣屋の歴史と背景を知る
高山陣屋を訪れる前に、その歴史的背景を知っておくと、見学がより一層深みを増します。
- 飛騨国の重要性: 豊かな森林資源に恵まれた飛騨国は、江戸幕府にとって重要な直轄領でした。そのため、幕府は代官を派遣していましたが、安永6年(1777年)にはその重要性から郡代に格上げされ、関東、西国、美濃と並ぶ幕府の重要な拠点となりました。
- 現存する唯一の郡代・代官所: 幕末には全国に60数カ所あったとされる郡代・代官所の中で、当時の建物がほぼ完全に残っているのは高山陣屋だけです。これは、江戸時代の地方政治を知る上で極めて貴重な遺構と言えます。
時を超えて残る江戸時代の面影
高山陣屋の敷地内には、当時の役所や役人の住居、倉庫などが配置され、それぞれの建物が歴史を物語っています。
- 御役所(おやくしょ): 郡代が政務を執り行った中心的な部屋です。
- 玄関: 身分によって出入り口が異なり、格式を重んじた当時の様子が伺えます。
- 御用場(ごようば): 国氏替えのあとも高山に留まった金森家家臣が代官(地役人)となり、執務を行った場所です。
- 吟味所(ぎんみしょ): 罪人を裁く場所で、取り調べが行われたり判決が下された場所です。
- 大広間: 最も広い部屋です。年始など重要な行事などで使われました。
- 台所: 台所には釜や器の展示があり、当時の暮らしが伺えます。
- 代官、家族が生活した間: 武士の質素ながらも機能的な暮らしぶりが垣間見えます。
- 庭園: 手入れの行き届いた美しい庭園は、特に秋の紅葉が美しいです。
- 御蔵(おくら): 年貢米などを保管した倉庫群です。現存する江戸時代の米蔵としては、最古・最大級です。現在は、展示室として使用されています。
五感で歴史を感じる
高山陣屋をより深く楽しむためには、単に建物を見るだけでなく、五感を使い、当時の人々の暮らしや息吹を感じるとより理解が深まります。
- ボランティアガイドの活用: 無料でガイドの案内を聞くことができます。陣屋の歴史や建物の構造、当時の暮らしぶりなどについて、ガイドの説明を聞くことで、より理解が深まります。内容により、10~20分、30~40分、50~60分とかかる時間が異なります。
- 建物の細部への注目: 陣屋には40もの部屋があり、それぞれに畳が敷かれていますが、部屋の用途により畳やヘリの種類が異なります。また、釘隠しには真向き兎と呼ばれる意匠がかたどられています。大床には青海波が描かれており、このような細部に注目するとより江戸の息吹を感じられることでしょう。
- 季節ごとの表情を楽しむ: 春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉、冬の雪景色など、四季折々の自然が陣屋の景観を彩ります。訪れる時期によって異なる表情を楽しむことができます。冬は本当に寒いのでご注意!当時の生活が偲ばれます。
- 朝市との組み合わせ: 陣屋の見学と合わせて、陣屋の前で毎日開かれる朝市を訪れるのもおすすめです。地元の人々の活気を感じながら、新鮮な野菜や民芸品などを眺めるのは楽しい体験です。
- 周辺の散策: 陣屋周辺には、伝統的な建造物が残る「古い町並」や、美しい水辺の景色が広がる「中橋」など、見どころがたくさんあります。陣屋の見学と合わせて、周辺を散策することで、高山の歴史と文化をより深く堪能できます。
高山陣屋は、江戸時代の貴重な遺構であると同時に、当時の人々の暮らしや文化を今に伝える生きた証人です。飛騨高山を訪れた際には、ぜひ高山陣屋に足を運び、時を超えた旅を楽しんでみてください。陣屋前の朝市の活気も合わせて楽しむことをおすすめします。
- エリア
- 飛騨
- カテゴリー
- 文化・暮らしを感じる
- 歴史を知る
- レジャー
- 体験・見学
基本情報
- 住所
- 岐阜県高山市八軒町1-5
- 電話番号
- 0577-32-0643
- 営業時間
- (4月~10月)8:45~17:00 入場は16:30締切
(11月~3月)8:45~16:30 入場は16:00締切 - 休業日
- 12月29日、31日、1月1日
- 料金
- 440円(高校生以下無料)
- アクセス
- JR高山駅から徒歩10分
- ウェブサイト
- 口コミサイト
- 備考
施設内無料ガイド有(要予約)