パンと一緒に楽しむ、岐阜の旅【飛騨高山編】
写真:山口規子 文:吉村セイラ
ひの ようこさんが考える、岐阜パンの魅力とは?
岐阜県は小麦や乳製品など、パンに欠かせない食材の産地なのはご存じですか。木曾三川に代表されるように水の豊かな県でもあり、そのおいしい水で仕込まれるパンの美味なる味わいは格別。地元愛あふれる名店が県内各所にたくさんあるので、パン屋さん巡りの目的地としておすすめの県です。それぞれのお店が地元素材を積極的に使っているのも印象的。観光地の近くに名店があるのも、うれしいポイント。焼きたてのパンを買って。自然を眺めながら“外パン”を楽むのもおすすめです。
- ひの ようこ パン愛好家/パンクラブ主宰
- 1999年にパンサークル「パンクラブ」をスタート。日本だけでなく、世界中にパン旅に行くのが趣味。旅先で出会った食材とパンのおいしい組み合わせを探求中。TV・雑誌やSNSを通じて、パンの魅力を発信。
「トラン・ブルー」
一度は訪れたい、岐阜を代表する名店「トラン・ブルー」
“岐阜パン”の代名詞ともいえるのがこちらのお店。高山市内からはもちろん、岐阜県内の各所ほか全国から訪れる人が途絶えません。ひのさんもそのファンのひとり。
「私のように、トラン・ブルーのパンを目的に遠方から高山を訪れるパン好きが昔からいます。総菜パンの具材の使い方や組み合わせ、デニッシュの美しいプレゼンテーションなど、どのパンもこまかく計算された仕上がりで、完成度が高いのです」
パンの種類の豊富さも、トラン・ブルーの魅力のひとつ。岐阜の食材を上手くアレンジしたり、定番にひとひねり加えたりしたユニークなパンも多数。食パンも、「パンドミー」から「ラムレーズンの小さな食パン」といったものまで、幅広くラインナップされています。
「奥の厨房からどんどん焼きたてが運ばれてくるので、パンを選ぶときのワクワクが止まりません」とひのさんもいうように、活気あふれる店内のムードもこのお店に足を運ぶべき魅力のひとつといえそう。
オープン30周年記念で作ったトートバッグは、知られざるヒットアイテム。マチがあるのでパンを入れるのに最適です!
「トラン・ブルー」の口福パン5選をパンレポ!
(写真1枚目から)
・カンパーニュ オ フリュイ
ソフトなセミドライアプリコット、レーズン、くるみがふんだんに入った贅沢なカンパーニュ。週末限定販売で手に入りにくいのですが、一度は食べて欲しいパン。シェフ曰く、薄くスライスして、クリームチーズをのせハチミツをかけて食べると至福だとか! ¥1000 ハーフ¥500 ※週末限定の販売
・でこぽんのデニッシュ&フレーズ~いちごのデニッシュ
「トラン・ブルー」といえば、美しい見た目と繊細な食感のデニッシュ。フルーツのおいしさを引き立てる工夫も見逃せません。バーナーで焼き色を付けたでこぽんは、爽やかな酸味とほろ苦さが絶妙。フレーズはそのときにおいしい、いちごの産地を選んで使用しています。でこぽんのデニッシュ¥450、フレーズ~いちごのデニッシュ¥440
・若鶏と飛騨山椒のフォカッチャ
地元で栽培されている「飛騨山椒」の香りが食欲をそそる総菜パン。もっちりとしたフォカッチャ生地とも好相性。¥280
・3種のチーズバゲット
地元で「あぶらえ」と呼ばれるエゴマと、黒ゴマのプチプチとした食感がアクセントに。モッツァレラ、グリュイエール、パルミジャーノの3種のチーズが絶妙にマッチ。ワインとも合う、大人の味わいです。¥520
・スイートロールマウンテン
練乳入りの生地を型に入れ焼き上げたトラン・ブルーの伝説のパン。仕上げに、ブランデーシロップに浸すことでシルキーなくちどけに。¥180
「思い通りにならないのがパン作りの魅力」という、オーナーシェフの成瀬 正さん。新しい風を吹き込み、創意工夫を惜しまないパン作りが人気の秘密。「トラン・ブルー」を目的に訪れた人が高山を巡ることで、地域の活性化につながるといいですねと、地元愛ものぞかせてくれました。
「シェフは、後進の指導にも情熱を注いでいます。年に一度はお店の若手職人を連れて星付きレストランへ勉強も兼ねて食事に行くというところからも、パン作りだけでなく食の楽しさを大きな視点で伝えていきたいという想いが感じられます」と、ひのさん。トラン・ブルーを“卒業”したシェフが全国のパン屋さんで活躍しているのもうなずけます。
旅のメモ
【DATA】
TRAIN BLEU(トラン・ブルー)
岐阜県高山市西之一色町1丁目73-5
0577-33-3989
営業時間:10時~18時(売切次第クローズ)
定休日:火・水(その他不定休有、最新情報は公式サイトで確認)
「トラン・ブルー」近くの観光スポット 高山陣屋&古い町並
日本遺産に認定。武家の歴史、文化にふれられる「高山陣屋」
江戸時代に郡代・代官が治政を行った「陣屋」。全国のなかで当時の建物が残っているのは、ここ高山陣屋だけです。陣屋前にて催される朝市では高山名産がずらり。お土産品も揃っているので、ぜひ、立ち寄ってみて。
「古い町並」で、江戸時代にタイムトラベル
城下町・商人町として栄えた高山の雰囲気を今に伝える古い町並は、飛騨高山の観光ではずせない名所。おいしいパンを食べたあとの散歩に最適です。
旅のメモ
パンピクニックを楽しむなら、「池ヶ原湿原」へ!
天気のいい日に“外パン”するなら、「池ヶ原湿原」がベストスポット。飛騨の美しい自然を観賞しながら食べるパンは格別! 食後は整備された木道でのハイキングが心地よい時間を約束してくれます。