地元レポーター発!旅のコラム

新企画棟「スペースボックス」がオープン!岐阜かかみがはら航空宇宙博物館

透 千保
透 千保
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「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」は、愛称「空宙博(そらはく)」と呼ばれ、航空や宇宙について学ぶことができる場所です。

展示面積9900平方メートル、実機41機、実物大模型15機の計56機を展示し、本格的な航空と宇宙に関する国内唯一の専門博物館。

航空ファンでなくても、空や宇宙へのあこがれを思い起こさせてくれる岐阜の誇りです。

このほど館内に待望の企画棟が新設されました。早速、中をのぞいてみることにしましょう。

新企画棟「スペースボックス」

2024年10月に新しく企画展示のための棟が完成し、2025年3月9日まで特別企画展「月への挑戦-アポロ計画から50年、人類は再び月を目指す-」が開催されています。


人類が初めて月に降り立ったのが、1969(昭和44)年。今また世界中で月を目指す取り組みが活発に行われているそうです。


この特別企画展では、先人たちの月への挑戦の歴史や、現在の月面開発の計画を紹介しています。

「月への挑戦の歴史」


アメリカが国家の威信をかけ、1961年から1972年にかけ有人月面探査をめざしたアポロ計画。1969年、アポロ11号が初めて月面に着陸したシーンをテレビ中継で観た方もいらっしゃることでしょう。


「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である」。ニール・アームストロング船長の言葉は、私たちの明るい未来を予感させるものでした。


第二次世界大戦から20年も過ぎていない頃に、この壮大な計画が進められたと思うと驚きです!

月面着陸に成功したアポロ15号が持ち帰った月の石などが展示されています。


一方、旧ソ連の無人月探査機「ルナ」。ルナ15号は月面着陸には失敗したものの、その後のルナ16号では、月の砂の採取に成功しています。(月の石と月の砂は、12月末までの展示です。)

「月への新たな挑戦」


現在では、単に人を月に送るだけでなく、月を新たな居住圏とすることを目指す「アルテミス計画」が行われています。


日本を含む30以上の国が参加し、日本人宇宙飛行士による月面着陸も予定されています。

月球儀に、各国が月面に着陸した場所に国旗が記されています。


こんなにも多くの国が月面着陸に成功しているのですね。

月への旅行を映像で体験できる没入体験シアター「MOON QUEST」は大迫力!幅約5m×高さ3mの5面と床面の大型スクリーンで、実際に月面に降り立ったような臨場感あふれる体験ができます。


人類の居住圏は今や宇宙にも及ぼうとしているのですね。近い将来、月で生まれ育った人たちが現れるのかと想像すると、ロマンを感じます。


「岐阜県の高校生の挑戦」


ぎふハイスクールサットプロジェクトと名付けられた、超小型人工衛星を高校生の手で、製作・運用するプロジェクトが紹介されています。若い世代の活躍が心強いです。


新企画棟オープニング・セレモニー

2024年10月12日、新企画棟オープニング・セレモニーが行われました。


常田佐久 館長は「今回の企画展は世界の宇宙開発でもっともホットなテーマ。展示を見て、なぜ再び人類が月を目指すのかを感じ取ってほしい」とあいさつ。


古田肇 岐阜県知事は、企画棟の名称を「スペースボックス」と発表しました。

そして、いよいよ新企画棟のお披露目です。入場ゲートの除幕が行われ、中部学院大学吹奏楽部の皆さんによるファンファーレと共に企画展が開幕しました。


私は司会を務めさせていただきましたが、大勢の来場者が見守る中、華やかにオープンしました。

オープニング・セレモニーに先立って、子どもたちによる水ロケットの打ち上げも行われました。みんな大成功!


空宙博では、水ロケット製作教室など、たくさんの楽しく学べる教室を開催しています。


1階 航空エリア

常設展も見学しましょう。まずは、航空機と航空機産業のはじまりから。


1903年、人類初の動力飛行に成功したライト兄弟。それから16年後、岐阜にフランスの航空教育団が招かれました。


さらにその3年後、1922(大正11)年には、「乙式一型偵察機」の生産が始まり、ここ各務原で日本の航空機産業が誕生するのです。

各務原で一番多く製造された飛行機である旧帝国陸軍の三式戦闘機二型「飛燕」。現存する唯一の二型です。


この機体は、以前、知覧特攻平和会館で見たことがあります。長い年月を経て岐阜に里帰りしたかと思うとしみじみします。


敢えて塗装を落とし、ジュラルミンの地肌のままで展示されています。精密にデザインされた機体のフォルム、細かな部品の造形など、手に取るように分かり、いつまでも見ていたくなります。


そして、岐阜で初飛行した十二試艦上戦闘機「零戦(試作機)」の実物大模型も展示されています。


ジブリのアニメ『風立ちぬ』で描かれた堀越二郎による設計。作品の中で、堀越二郎たちが試作機の試験を繰り返す飛行場が、まさに各務原なのです!


戦争によって航空機技術の開発が進んだ背景には、複雑な気持ちもありますが、航空の歴史を標す貴重な所蔵品が展示されています。

終戦後の7年間は、航空機の研究・開発や製造が中止されましたが、その後、航空機の技術開発が再開されました。


20機以上の実機がフロアいっぱいに並べられたこの展示は壮観です。どのように技術開発が進んで行ったのか、年代ごとにわかるようになっています。


シミュレータ操縦体験

航空機って、どうやって操縦するの?興味のある方はシミュレータ操縦体験へ。旅客機、小型ジェット機、ヘリコプターの操縦を体験することができます。


ヘリコプターのシミュレーションはバーチャル・リアリティ(VR)技術を用いた本格的なものですが、これのみ有料(600円)です。


カウンターで整理券をもらい、時間になったら待機場所で待ちます。休日には予約が一杯になってしまうこともあるので、体験したい方は早い時間に行った方がいいかも。


今回は、小型ジェットに挑戦!ブルーインパルスに使われているT4をイメージしたシミュレータで、岐阜基地上空を飛べるのは気分が上がります。


スロットルを前方に押して全開にし、離陸速度に達したら操縦桿を引いてテイクオフ!上昇したいのに空中姿勢が分らず宙返りしてしまったり、旋回中にバンクが深くなり過ぎ背面飛行になってしまったり…。


ハラハラドキドキの3分間でした。評価はCランク(汗)なかなか難しいものですね。またチャレンジするぞ~!

2階 宇宙エリア

2階には宇宙への挑戦にまつわる展示があります。ニュース映像などで見た出来事が具体的にイメージでき、よく理解できます。


日本人宇宙飛行士も活躍しています。空宙博(そらはく)アンバサダーの山崎直子さんの写真もありました。


ISS日本実験棟「きぼう」の模型も展示され、宇宙食の紹介も。味もどんどん改良されて食べやすくなっているようです。


「柿の種」や「名古屋コーチンみそ煮」が宇宙で食べられるとはビックリ~!

あの、感動的だった「はやぶさ2」のミッションなど、宇宙と生命の謎を探るコーナーもあります。


見ているうちに、宇宙を身近に感じるようになってきました。

空宙博カフェ

見学の後で少し休憩したい時は、空宙博カフェへ。


飛騨牛を使用したオムライスやカレー、ラーメンの他、唐揚げやフライドポテトなどのサイドメニューもあります。

大人でもちょっとうれしい「お子様ランチプレート」と「空宙ソーダ」、「飛騨牛オムハヤシライス」をチョイス。


空港のラウンジにいるようなホッとする空間です。


ミュージアムショップ

ミュージアムショップには、航空宇宙に関するお土産が数多く販売されています。人気のお土産は何でしょうか?


令和5年度の年間売り上げベスト3は、1位「ジャンボぶっとびグライダー」、2位「パイロットベア」、3位「スペースフードたこやき」でした。


たこやきは宇宙食の中でも人気ナンバーワン!フリーズドライ製法で、具の中にちゃんとタコも入っていました。


私は、飛行機がプリントされたエコバッグを愛用しています。

屋外エリア

屋外展示も充実しています。建物の前には、実機がズラ~リ! 

まるで滑走路を歩いているみたい。飛行機を眺めたり写真を撮ったりして、なかなか建物にたどり着けない人も?遊具広場もありますよ。


人気が高い「US-1A」と「P-2J」が並ぶ姿は航空ファン必見です。戦後初めて開発・量産された旅客機「YS-11」は定期的に機内公開を行っています。


飛行機やヘリコプターを近くで見ると、こんなにも迫力があるのですね。


「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」では、今秋も様々なイベントが開催されます。セミナーや講演会などに参加して、航空や宇宙について知るきっかけとなりそうです。


航空宇宙ファンはもちろん、知識がなくとも、こどもから大人まで誰でも楽しめる「空宙博(そらはく)」。ぜひ訪れてみて下さい。



◆岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(愛称「空宙博(そらはく)」)

住所:岐阜県各務原市下切町5丁目1番地

TEL : 058-386-8500


開館時間:平日10:00~17:00 / 土日祝 10:00~18:00

休館日:第1火曜日(休日の場合、翌平日)

年末年始(12月28日~1月2日)

※その他、メンテナンスや気象条件により臨時休館する場合があります。


入館料:大人800円 / 高校生・60歳以上500円 / 中学生以下 無料

団体見学:20名以上の団体、学校団体は予約が必要です。(割引料金あり)





この記事のレポーター

透 千保
透 千保
岐阜市出身・在住。
フリーアナウンサー、ビジネスマナー講師。
公共交通機関の案内アナウンスも担当。
海外渡航歴21カ国。ニュースや番組取材を通じて得た岐阜の魅力を、多くの方にご紹介します。

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