地元レポーター発!旅のコラム

初夏の薫り!恵那の朴葉寿司6選

透 千保
透 千保
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2年前に出会った「恵那の朴葉寿司プロジェクト」の皆さん。みずみずしい朴の木の葉を使った朴葉寿司は、新緑の季節にしか味わえないおいしさです。

プロジェクトによると、毎年5月の第3土曜日は「新葉朴葉寿司(ホーバー・ヌーボー)の解禁日」。6月にかけて、様々なお店に朴葉で包んだお寿司が並びます。

朴葉に酢飯と具材をのせて包んだ郷土料理として、岐阜県内の各地域で食べられていますが、恵那の朴葉寿司は、具材が多く彩りも鮮やか。個性豊かな朴葉寿司を食べ比べてみませんか。

旅館いち川

「旅館いち川」では、四季を愛でる和の心を大切にし、朴葉の新葉が芽吹き、包むのに適した厚さになったこの時季のみ朴葉寿司を提供しています。


具材は、きまぐれ鮮魚の昆布酢〆、玉子、枝豆、絹さや、椎茸、筍の山椒煮、きゃらぶき、紅しょうがなど。

日本料理の職人により丁寧に調理された具材と恵那の美味しいお米でできた、「今だけ」の朴葉寿司です。

旅館いち川は、創業400年。江戸と京を結ぶ中山道69次の中の1つ大井宿(現在の恵那市)で、初代・市川左右衛門が始めた旅籠「角屋」の伝統を受け継いでいます。


趣のある庭と玄関、和モダンなテイストのロビーが心地よく、泊まってみたくなる宿です。

最近では、中山道を歩いて楽しむ外国からのお客様も増えているとか。女将の市川祥子さんは、地元の食材にこだわり調理法も勉強されています。マクロビオティック(身土不二の穀物菜食)のランチも人気だそうです。


◆旅館いち川

住所:岐阜県恵那市大井町95-1

TEL:0573-25-2191

FAX:0573-25-8417

駐車場あり


金寿司

お寿司屋さんが作る朴葉寿司は、具材も豊富です。鰻、鱒、椎茸、きゃらぶき、ちりめん山椒、ガリなど。


それぞれに、こだわりの仕事がしてあります。

中央自動車道恵那ICより北へ約2㎞の場所にある「金寿司(きんずし)」。店主の林満さんは、岐阜県鮨商生活同業組合の専務理事でもあります。

2階には、お座敷の他、個室のカウンターバーも!?


新型コロナウィルスが流行していた時に、ご自身で作られたという自慢の寿司カウンターです。ここでお寿司を食べたらVIP気分!

朴葉寿司の作り方を見せていただきました。


お寿司は少し大きめサイズで、海の幸、山の幸がバランスよく入っています。

いぐさを使い、茎を見せるように朴葉を包むのが「金寿司」の特徴。林さんは市民講座の講師も務め、朴葉寿司の普及にも努めています。


ふるさと納税の返礼品にも出品しているそうなのですが、送られて来た朴葉寿司は、朴葉のまま電子レンジに入れて温めると、香りが移っておいしく食べられると教えていただきました。


◆金寿司

住所:岐阜県恵那市長島町久須見1085-9

TEL:0573-25-7212

営業時間:11:00~14:00/17:00~21:30

定休日:水曜日

駐車場あり


寿司幸

岐阜の食材がふんだんに使われ、香ばしい鮎の香りが漂います。


具材は、飛騨牛しぐれ煮、自家製鮎一夜干し、サーモン、海老、椎茸、玉子など。

恵那駅から徒歩数分。中山道沿いにお店を構える「寿司幸(すしこう)」。


女将の杉本桂子さんが、創業50年以上のお店を父親から引き継ぎ、お寿司だけでなく居酒屋メニューも取り入れて幅広い年代の方々に支持されています。

2階には個室もあり、接待に使う人も多いとか。季節の花と共に宿場町の雰囲気を感じさせるディスプレイが印象的です。


県外の方には、特に地元の食材や地酒が喜ばれるそうです。

女将の杉本さんは、恵那市商店街振興組合 理事、恵那商工会議所 常議員としても活動されていて、人々のつながりを大切に地域を盛り上げたいと話してくださいました。


◆中山道大井宿 寿司幸

住所:岐阜県恵那市大井町236-22

TEL:0573-25-4070

営業時間:11:00~14:00/17:00~21:30(金・土17:00~22:00)

定休日:水曜日

駐車場あり


すし大翔

お店によって、朴葉寿司の内容も様々。お寿司屋さんなので、味は保証付です。


具材は、しめ鯖、鮭フレーク、紅しょうが、きゃらぶき、しその実など。

日本大正村にほど近い場所にお店を構える「すし大翔」。


寺澤浩示さん、翔さんが、親子2代でお店を営んでいます。まさに親子鷹ですね!


朴葉寿司は恵那の南の地域ではあまり食べられていませんでしたが、「恵那の朴葉寿司プロジェクト」のメンバーの心意気にひかれ、この地にも朴葉寿司を広めたいと、翔さんは最年少で参画されています。

浩示さんが「すぐできるよ」と、作り方を実演してくれました。


新鮮なネタを使い、朴葉の包みを開けた時に目で楽しめるようにと、見映えにもこだわっているそうです。本当に彩り鮮やか!

  • 朴の木
  • 朴の木の花

お店の敷地内に朴の木があり、朴葉寿司にこの葉を使っているので香りも楽しんでほしいと言う翔さん。


採れたての葉の香りは爽やかです。2個で600円とリーズナブルな価格にし、朴葉寿司を若い世代にも伝えていきたいとのことです。


◆すし大翔

住所:岐阜県恵那市明智町大田1459-9

TEL:0573-54-3202

営業時間:11:00~13:30/17:00~21:30

定休日:水曜日

駐車場あり


なかのほう不動滝やさいの会

「なかのほう不動滝やさいの会」では、昔ながらの代々伝えられてきた味を大切に。家庭でも作れる朴葉寿司をめざしています。


具材は、鮭、玉子、きゃらぶき、椎茸、自家製紅しょうが、しその実など。

30年ほど前、地元の女性たちが集まって始めた加工所は活気に満ちています。


理事の池戸淑子さんによると、飽きのこない優しい味付けと地産地消を心がけ、地元産こしひかり、ふき、椎茸などを使用。添加物を使わない工夫として、ショウガを梅酢でつける、無添加のしその実を高知県から購入するなどしています。

また加工所の裏には朴葉畑があり、葉の収穫もします。近年では、コミュニティセンターでボランティアを募集しお手伝いもしてもらっているそうです。

1996年には、行政の人たちを説得して古民家風の建物を建て、直売所での販売にこぎつけました。


ここでは、新鮮な農産物や手作り加工品が買えるとあって大人気。農家の方々が自分たちで食べる安心・安全な野菜を出荷し、110円から取りそろえています。

5月6月になると、朴葉寿司を毎日100個以上作るそうです。20年以上変わらないレシピで、各家庭で作られてきた素朴な味わい。


朴葉寿司の原点とも言えるようなふるさとの味です。


◆なかのほう不動滝やさいの会 直売所

住所:岐阜県恵那市中野方町44-1

TEL:0573-23-2166

営業時間:平日8:00~15:00/土・日・祝8:00~16:00

定休日:第4木曜日

冬季長期休日あり(12月26日から3月中旬)

駐車場あり


道の駅 おばあちゃん市・山岡

おばあちゃん手づくりの味で好評の朴葉寿司は、6月1日から販売。


具材は、あさりのしぐれ煮、玉子、きゃらぶき、椎茸、紅しょうが、しその実など。

「道の駅 おばあちゃん市・山岡」と言えば、巨大水車が有名です。直径24mと木製水車としては日本最大級の大きさを誇ります。


この地域では、陶土用の砕石を製造する動力として利用されてきました。目の前には小里川ダムがあり景色のよい観光スポット。幸せの鐘もあります。

みはらし茶屋では、地元の旬の食材を使って、おばあちゃんたちが手づくりしている「おふくろの味定食」や「おばあちゃんのダムカレー」も人気。


季節によって、「ほおば寿司定食」や「みょうが寿司定食」も味わえます。水車を眺めながら、テラスで食べるお料理は格別です。

  • からふるジュレ寒天ぱふぇ

2024年3月21日新発売の寒天ヘルシースイーツもありました!特産の「細寒天」を生かしたオリジナル寒天スイーツは、恵那市内3箇所の「道の駅」で、それぞれ違う味を楽しめます。


ここ山岡では、「からふるジュレ寒天ぱふぇ」を販売。ソフトクリームには「琥珀糖」をトッピング。


下の方にあるカラフルな4種類の寒天が味わえるだけでなく、駅のシンボルである「水車」をイメージしたクッキーもあしらわれています。


このクッキーは、塩麹を使った生産者さんの手づくりなのだそうです。ほどよい甘みと塩味がミックスされておいしい~!

産直品売り場は、山岡町特産の細寒天、新鮮な野菜、お米、手芸品、木工品など品揃えが豊富で、お土産にしたい品がたくさんありました。


◆道の駅 おばあちゃん市・山岡

住所:岐阜県恵那市山岡町田代1565-169

TEL:0573-59-0051

営業時間 

3月~11月 9:00~17:00

12月~2月 9:30~16:30

定休日:年中無休

駐車場あり


恵那の朴葉寿司プロジェクト

「恵那の朴葉寿司プロジェクト」代表で寿司幸 女将の杉本桂子さんと、恵那市役所農政課の西尾巌太さんにお話を伺いました。


このプロジェクトは、2020年、市内の飲食店や旅館、産地直売グループなどの代表者が集まり発足。恵那の食文化の継承や、地産地消、食育に取り組んでいます。


恵那市役所農政課も全面的にバックアップ!

朴葉寿司の歴史を辿ると、稲作が中心だった地域で最大のイベントである「田植え」の時期に、田の神様に酒や食事を提供したのが始まりとか。


朴葉は大きくて香りもよく殺菌作用があると言われ、持ち運びしやすくお弁当にも最適です。お皿代わりにも使え、SDGsな食べ物だったのですね。


昔から各家庭で作られていた朴葉寿司を見つめ直し、そのよさを伝えるために、イベントやマルシェなどで販売したり、親子で作る講座なども企画されています。

また、「恵那の朴葉寿司プロジェクト」は、文化庁の「伝統の100年フード部門~江戸時代から続く郷土の料理」に、白川町観光協会、下呂温泉観光協会とともに認定を受けています。


恵那の朴葉寿司の魅力を全国に発信したいと熱く語るメンバー。今後の活動が楽しみです。若葉の季節にしか味わえない朴葉寿司を、皆さんもぜひ味わってみてください。


※なお、イベント時のみ販売するお店もありますので、問い合わせをしてからお出かけください。


◆恵那の朴葉寿司プロジェクト

連絡先:恵那市役所農政課農政係

住所:岐阜県恵那市長島町正家1丁目1番地1

TEL:0573-26-2111


この記事のレポーター

透 千保
透 千保
岐阜市出身・在住。
フリーアナウンサー、ビジネスマナー講師。
公共交通機関の案内アナウンスも担当。
海外渡航歴21カ国。ニュースや番組取材を通じて得た岐阜の魅力を、多くの方にご紹介します。

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