農家から直接野菜を買える!岐阜の「直売所」8選
- 各務ゆか
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試行錯誤を重ねた不耕起栽培で最高に美味しいトマトを栽培!「小林農園」(各務原市)
各務原市蘇原伊吹町にある「小林農園」。ログハウス風の直売所にはトマトがずらり。朝からひっきりなしにお客さんが訪れ、早い日だと午前中には売り切れてしまうほどの人気店です。
「小林農園」を営むのは小林照悟さん・美枝さんご夫妻。「直売所に来ていただけるお客さんの期待に応えたい、その一心で栽培しています」と優しそうに語る姿が印象的で、そんな夫婦の人柄があってこそ育てることができたのではないかと思われるトマトは、びっくりするほど甘くて美味しいです。
小林照悟さんがトマトづくりを始めたのは約20年前。岐阜県の農業大学校で野菜・果樹学科のトマトを専攻したことがきっかけで、実家にあった農地などを利用して始められました。
こだわっているのは、不耕起栽培という畑を耕さない農法。つい土を耕したり肥料をやったりとトマトを甘やかしたくなってしまうところをグッと我慢し、作物自身が必要な養分を見つけていくように仕向けていくことが最大の特徴です。
「土の病気などでトマトが枯れたりして大変だった時期もあります。5年ほどはなかなか思うように収穫できませんでしたが、トマトの底力を信じて試行錯誤を重ねて上手くいった時は本当にうれしかったです。いつも、お客さんの”おいしかった”の一言で全てが報われた気がしますね」と話してくださいました。
現在は各務原農場と川辺農場の合わせて9,000平方メートルのハウスで各種トマトを育てており、年間を通して美味しいトマトを地域の方に提供していただいています。
若い世代を中心に人気が高いのは「フロランティーノ」という高糖度のミニトマト。一口食べると南国のフルーツを食べているかのようなさわやかさが広がり、やみつきになってしまう人が続出というのも納得です!
トマトの代表的な品種として知られる 「桃太郎」 の中でも糖度が高い 「桃太郎ファイト」や、 中玉の「フルティカ」なども用意。ミニトマト100%のトマトジュースやドライトマトなどもびっくりするくらい甘くておいしいのでおすすめです!
■小林農園
岐阜県各務原市蘇原伊吹町1-95
10:00~売り切れ次第終了、不定休※収穫量により休みあり
「まずいトマト」で話題! 食文化の可能性を提案してくれる「むすぶ農園」(安八町)
岐阜県安八郡安八町西結にあるハウスの横に建つ「むすぶ農園」。トマトをはじめ農園で採れた野菜がずらっと並ぶ直売所ですが、こちらで話題になっているのが「まずいトマト」と呼ばれている小ぶりで細長いトマトです。
この「まずいトマト」、生のまま食べるとモサッとしていて美味しくないのですが、加熱すると驚くほど旨味成分が出て美味しくなります。以前にテレビ番組で紹介されて以降、わざわざこれを求めて買いにくるファンも多くなったと言います。
農園を経営する戸田豊和さんによると、「世界ではトマトを加熱して旨味を出して食べるのが一般的ですが、日本には昔からダシ文化が根付いていたために、トマトの生食がスタンダードに。これが過熱用トマトがあまり認知されていない理由かもしれません」とのこと。
トマトの加熱調理を普段からする人は少ないと思いますが、一度この「まずいトマト」でトマトソースを作ると、ダシを加えなくても十分なほど旨味たっぷりのソースが出来上がり、その美味しさにやみつきになること間違いなし! ニンニクと玉ねぎとまずいトマトを火にかけるだけなので、ぜひ試してもらいたいです!
戸田さんは、「農業は英語で「アグリカルチャー」。「カルチャー(文化)」という言葉が含まれているんだから、食文化の大切さを伝えていきたい」と話します。
お客さんとのコミュニケーションを大切にし、直売所でタイミングが合えばトマトの美味しい調理法などをたくさん教えてくれます。「チーズと一緒に食べたらめっちゃ旨いよ」「このトマトジュースと鶏肉と煮込むだけで味付け終わるからやってみ」などアドバイスを元に家で作ってみると、本当に美味しいので、ついついまた足を運びたくなります。
最近は、イオンモールや地域のマルシェなどにも出店し、地域の農産物のファンを増やす活動にも精力的に取り組んでいらっしゃいます。収穫体験常時受付。体験は電話で予約(090-3586-7584)をお願いします。
地域を農産物で盛り上げてくださっている戸田さんの活躍にも期待したいです!
■むすぶ農園
岐阜県安八郡安八町西結2885
8:00~18:30、年中無休
甘いミニトマト「アルル」など珍しい品種がたくさん!「スマイルふぁーむ」(海津市)
海津市海津町萱野のトマト直売所「スマイルふぁーむ」 。2019年にトマトを栽培する農家3人でオープンした直売所で、ミニトマトから大玉トマトまで珍しい品種が販売されています。
代表の近藤康弘さんは「海津市は県内でトマトの出荷量がNo.1なんですが、地元の人でさえもそれを知らないんです。地元にこんな美味しい食材があるんだよということをわかってもらいたくて直売所を作りました」と話します。
「消費者に本当に求められているトマトって何だろうか」という疑問を解決すべく、地元のママを招き試食会も実施。試行錯誤を重ねて人気商品になっているのが、酸味が少なくしっかりとした甘みが特徴の「アルル」や皮が薄くて食べやすい「名無し君」というミニトマトの品種です。トマト嫌いの子どもでも食べられると評判の逸品になっています。
品種選別と同じくらいトマトに関する発信にも力を入れており、直売所に来た方への声掛けにはじまり、地元の小学校への出張事業、収穫体験なども実施している。「どのような思いで作っているのか背景を知ってもらうことで、同じ値段でも海津産のトマトを選んでもらえると思う」と近藤さん。
週2回の直売所での発売の時には生産者さんが店頭に立つことも多く、丁寧にお話を聞かせていただけます。ぜひ海津のトマトを知りに直売所に出かけてみてください!
■スマイルふぁーむ
住所:岐阜県海津市海津町萱野188(海津歴史民俗資料館の西500メートル、白いビニールハウス内)
営業日時:毎週水曜、土曜日 10:00〜14:00
パリッとしてあま~いミニトマト「あかね」が人気!「はしもと農園」(各務原市)
岐阜県各務原市でこだわりのフルーツミニトマトを栽培している「はしもと農園」。 糖度が高く、パリッとした食感が特徴のミニトマト「あかね」が大人気。その味わいが口コミで人気となり、直売所に足しげく通うお客さんが大勢いらっしゃいます。
そんな農園を経営するのは、36歳の橋本涼さん。農学部出身で大学院在学中にビニールハウス栽培の先進国オランダへ留学し、養液栽培を学ばれました。「日本ではこれまで農業は経験と勘だけに頼っていた部分が大きかったんですが、オランダのようにハウスの環境や植物の生育状態を数値化し、どうやったら上手に育つのかを”言語化”することが必要だと思ったんです」と橋本さんは言います。
2016年より愛知県から各務原市に移住し、羽場町と前渡東町に2つの農場を開園。2018年には前渡東町の農園内に直売所をオープンされ、ミニトマトや大玉トマトなど常時5種類ほど販売されています。
「はしもと農園」では”養液栽培”といい、土壌の代わりに固形栽土を用いる栽培方法が取られています。固形栽土はココピートというココヤシガラを利用した有機培土が使われており、使用後は産業廃棄物ではなく、廃棄も簡単でサステナブルな用法なのだとか。
「コンピューターや理論だけに頼っている農法に見えますが、相手は植物なので、しっかり目をかけて手を掛けてあげることが一番大切です。やっぱり自分は農業が好きだからこの仕事を続けていられるんだと思います」と橋本さん。
トマトは何品種も食べ比べを行い、橋本さん自身が「美味しい」と思ったものを選んでいらっしゃいます。人気の「あかね」は、果皮がデリケートで裂果してしまうことも多いのだそう。それでも美味しいものを届けたいという思いから、破棄する果実はジュースに加工するなどの工夫を重ね、世に送り出していらっしゃいます。
橋本さんは「若い人にも農業のことを知ってもらうきっかけを作りたい」という思いから、情報発信の手段の一つとしてカフェ等の出店も積極的に行っていらっしゃいます。
2019年に同市那加前洞新町 にオープンした「はしもとアイスストア」はフルーツパフェやかき氷がティーンにも大人気でSNSを中心に広がりを見せています。その後もカカミガハラパークブリッジ内に「はしもとバーガー」、JR岐阜駅直結のアクティブG内に「はしもとパーラー」をオープンするなど精力的に活動されています。お店では「あかね」の販売があったり、農園で採れた作物を使ったメニューも豊富に揃っています。
地元の食文化をけん引していらっしゃる「はしもと農園」さんには今後も大注目です!
■はしもと農園
各務原市前渡東町5-179
10:00~16:00、土日休
こだわりトマトのジュースも人気!「細野ファーム」(揖斐郡池田町)
岐阜県揖斐郡池田町にある「細野ファーム」。工業団地の中に巨大なガラス面が印象的なトマトのハウスがあり、その横におしゃれに店名が書かれたプレハブの直売所が建っています。
「細野ファーム」を運営されているのは29歳の細野晃大さん 。大学では経済学を学んでいらしたそうですが、その当時好きだったTV番組『鉄腕ダッシュ』に憧れて22歳の時に農業の道へ。細野さんは”トマトで少しの贅沢を”をモットーに世界中の品種を厳選してトマトを栽培され、最新テクノロジーも積極的に取り入れています。
細野さんのこだわりは、土を使わない水耕栽培「ハイポニカ農法」を採用していること。コストはかかるものの、みずみずしいトマトが出来るのだと言います。また水には井戸水ではなく不要な成分が入っていない水道水を使っていることも特徴です。
一番人気の品種であるミニトマトの「スピカ」は、小さなお子さんにもおやつ感覚で食べてもらいたいという思いで誕生した逸品。平均糖度10前後で皮がサクっとした食感が特徴です。
「スピカ」を使ったプレミアムトマトジュースも絶品です。一口飲んだら、一般のトマトジュースとの違いを実感すること間違いなしです。フルーツジュースのような甘さでトマトジュースに抵抗感がある方でも美味しくいただけます! ギフトにしても喜ばれる商品ですよ!
■細野ファーム
岐阜県揖斐郡池田町粕ヶ原392
10:00~16:00、月曜休
スーパーフードとして注目される青パパイヤも!無農薬にこだわる「カノンファーム」(海津市)
海津市平田町にある「カノンファーム」。株式会社日本環境管理センターと連携して、地域から排出された浄化槽汚泥を乾燥・炭化処理した「炭化オデイ肥料」などを使って完全無農薬で野菜などを栽培・販売されています。
「カノンファーム」の直売所が本格運営し出したのは約3年前。「自社独自の肥料で作ったら美味しい野菜ができるはず」と、循環型農業にも取り組み始めたことがきっかけでした。ハウスのボイラーには同市内で発生する剪定枝などから作る「ペレット燃料」を利活用するなど、人や地球にやさしい農業を目指していらっしゃいます。
牧野さんは完全無農薬で野菜作りを実現するため、様々な農法を研究されたそう。現在も試行錯誤を繰り返しながらも行きついたのが自然栽培だったのだと言います。
土の中の微生物や植物の働きを信じて育て、極力耕さず、雑草除去も根から掘るのではなく、根を残して草だけを刈り、刈った草を捲いてビニールマルチの代わりにするなど工夫を重ねていらっしゃいます。
そんな農園で特に力を入れて育てているのが、グリーンパパイヤ。最近はスーパーフードとして注目を集めており、酵素の含有量が野菜と果物の中で最も多く、ポリフェノールは赤ワインの7.5倍もあるのだとか!
パパイヤに切れ込みを入れると白いパパイン酵素が出てきます。これは洗顔などでも重宝されている酵素です。食べてもシミやシワ予防といったアンチエイジング効果もあるそう! 千切りにして生でパパイヤサラダにしても美味しく、カレーの中に入れたり、手羽先と一緒に煮込んでも酵素の効果で肉がとっても柔らかくなるので、ぜひ試してみてください。
もう一つ、カノンファームで人気なのが無農薬トウモロコシ。無農薬で育てるのは難しいそうですが、普通より早めの6月に摘み取ることで栽培することができているのだと言います。ぜひトウモロコシも食べてみてください!
秋には農場の前にコスモス畑が作られ、一面に広がる花畑を撮影で訪れる方も多々! 今年はコスモスの街道も作られてより撮影しやすくなるそうなので、こちらも期待したいです!
■カノンファーム
岐阜県海津市平田町三郷470
毎週木曜 10:00~13:00オープン
※最新情報はインスタで発信中( @kanonfarm )
※イオン大垣「わくわく広場」でも野菜の取り扱いあり
柔らかくて甘い「ヒメアスパラ」が人気!「コスモファーム」(瑞穂市)
瑞穂市宮田にあるアスパラ農園「コスモファーム」。清水加寿也さんが経営する農園で、アスパラの雌だけを選別した「ヒメアスパラ」を売り出して話題になっています。
「アスパラには雌と雄があって、雌は穂先がキュッと締まって柔らかく甘みがあるのが特徴です」と清水さんは言います。雄と雌の選別には手間がかかるため、一般的には雄と雌は一緒ごたに束ねて売られていることが多いのですが、コスモファームでは「野菜嫌いの子どもにも美味しいアスパラを食べて欲しいから」と敢えて良質な雌のアスパラガスだけを選別し、ブランド化されています。
アスパラが育つハウス内の温度管理を大切にする清水さん。風の強さ等の天候には常に気を配っているのだと言います。こだわりは、土と堆肥の割合を通常の5対5から3対7ほどの割合に変えて栄養豊富にしている点。畑には驚くほどみずみずしいアスパラが育っています。
スーパーに並ぶアスパラは仲買人などを経るためどうしても鮮度が落ちてしまいがちですが、直売所ではその日の朝採れたアスパラを買う事ができるのも嬉しいポイント。「ヒメアスパラ」は数量限定のため予約制になりますが、その他のアスパラも新鮮で美味しいので、口コミで足しげく通う常連客の方の姿が目立ちます。
細さもいろいろ選べるため、その日の料理に合わせてアスパラを選ぶことができます。清水さんのおすすめレシピは、アスパラを斜めに薄く切り、しょう油・みりん・鶏ガラで絡めてレンジで5分ほど加熱するだけの「アスパラメンマ」。手軽なのに、おつまみに抜群の一品になるそうです。ぜひ試してみてください!
■コスモファーム
岐阜県瑞穂市宮田457
10:00~12:00 ※直売所は5月~9月営業、期間中不定休
マックスバリュ穂積店、モレラ岐阜内の産直野菜・食雑貨販売「おなかすいた」でも販売あり
いちご狩りもできる! 高糖度のミニトマトも美味しい「はなのかファーム」(瑞穂市)
バラや多肉植物を中心に商品を製造・販売している瑞穂市の「新月バラ園」。会社に所属する松野裕平さんなど有志の若いメンバーらが2019年に野菜部門を立ち上げて観光農園として展開しているのが「はなのかファーム」です。地域で最大級の敷地を活かし、お客様に直接サービスを提供したいという思いで、直売所やいちご狩りスペースなどを作っていらっしゃいます。
主力商品の一つは、糖度が高くて食べやすいミニトマト「ほれトマト」。糖度10%~12%以上という高い数値を誇り、薄皮なので、お子様でも食べやすいとリピーターが多い商品です。野菜部門のメンバーが常に栽培方法・技術を改善・研究し、より自慢できるトマトの収穫を目指していらっしゃいます。
ミニトマトの栽培から始まった「はなのかファーム」ですが、もう一つ力を入れているのがいちごの栽培です。
2022年度よりハウス内でいちご狩りもスタートされました。かおり野、よつぼしなど3種類ほどのいちごが45分間食べ放題! いちごは量り売りや持ち帰りのパック販売もあります。もちろん、いちごの購入のみで訪れてもOK! 農園で採れたいちごを使ったドリンクなども販売されているので、テイクアウトでふらっと立ち寄ることも可能です。
来年より、ハウスを一部改築してカフェの営業準備も進められているそうです。「はなのかファーム」さんの今後の展開に期待せずにはいられません!
■はなのかファーム
岐阜県瑞穂市田之上508-1
10:00~17:00
いちご狩り(1月~5月の土・日10:00~14:45開催)
予約「はなのかファーム予約センター」(9:00~18:00)080-9118-1187
※生育状況により期間が変更になる場合あり