白山の眺望と紅葉の共演!白山白川郷ホワイトロードから行く「三方岩岳」登山
- 土庄雄平
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白山白川郷ホワイトロードから始まる、極彩色の紅葉巡り
今回ご紹介する「三方岩岳」(さんぽういわだけ、標高1,736m)の登山口は、岐阜と石川の県境に近い三方岩岳駐車場(標高1,450m)にあります。
この駐車場は、「白山白川郷ホワイトロード」の途中に位置し、石川県の金沢や白山・加賀温泉郷と岐阜県の世界遺産・白川郷をつなぐ白山国立公園内のドライブコース上にあります。駐車場に車を停めたら、いよいよ登山の始まりです。
まずはトンネル脇の急斜面をゆっくりと登っていきます。10月中旬になると紅葉がピークを迎え、まるで絵画のように美しい山肌が広がります。手つかずの原生林や高山植物に恵まれた両白山地ならではの、鮮やかな紅葉をスタートから存分に楽しむことができますよ。
三方岩トンネルの上にある分岐を目指して20分ほど進みます。開始して約5分ほどの場所に、紅葉に囲まれた三方岩岳駐車場を振り返るポイントがあり、まさに秘境と言える場所に続く登山道のロケーションをより一層実感できるはず。
紅葉の小道を抜けて秘境を一望、感動の絶景パノラマ!
登るにつれて、紅葉した木々がどんどん目の前に迫ってきます。秋晴れの澄んだ青空と色鮮やかな紅葉とのコントラストが目を見張る美しさ。一番傾斜のキツい前半ですが、息をのむような景色を見ていると、辛さも吹き飛んでしまいますね。
三方岩トンネルの上にある分岐点に到達したら、次は樹林帯の区間へ入ります。道はしっかりと整備されており、ルートも明瞭なので、初心者の方でも安心して歩けます。木々の隙間から差し込む太陽の光が、紅葉を穏やかに照らし出し、心地よい色合いに包まれるのもまた一興です。
しばらく歩くと三方岩岳まで続く稜線の道に出ます。ここに来ると視界が一気に開け、世界遺産である白川郷の町並みとその背後に広がる山々を一望できます。遠くには北アルプスの峰々が連なり、飛騨地方のダイナミックな山々が広がる壮大なパノラマに心を奪われるはず。
紅葉のキャンバスを歩く、心地よい稜線ハイキング
登山を始めてから約30分ほどで、三方岩岳の中腹に差し掛かると、特に紅葉が美しいエリアに到達します。このエリアは高山帯から亜高山帯に生息するナナカマドが多く生えており、真っ赤に染まった葉が登山道を彩ります。
パノラマが開けてくると、少し下を見下ろすだけで、まるでパッチワークのように色づいた紅葉の絨毯が広がります。赤、黄、オレンジの色彩が織りなす風景は圧巻で、まさに絵画を見ているかのような美しさです。
息を呑むような紅葉の美しさを眺めながら、圧倒的なスケールのパノラマを堪能しつつ、三方岩岳の山頂を目指して進みます。片道1時間少しの道のりで、これほど素晴らしい山岳絶景を楽しめる場所は珍しく、まさに三方岩岳登山の醍醐味を味わえる区間です。
白山展望の道を進み、360度の大パノラマが待つ山頂周辺へ
稜線の傾斜が緩やかになってくると、三方岩岳の山頂が近づいてきた証拠です。するち開けた登山道から、日本三霊山の一つである白山(標高2,712m)が雄大な姿を現します。圧倒的な存在感を放つ雄峰と、山腹を彩る紅葉とのコントラストは、まさに息を呑む絶景です。
また、下を見下ろすと、紅葉が彩る山肌に沿って続く白山白川郷ホワイトロードが目に飛び込んできます。改めて、ここがいかにすごい場所であるかを実感するとともに、こんな隔絶した秘境に道を切り開いた先人たちの努力には感心せずにはいられません。
三方岩岳駐車場から歩くこと約1時間15分で、三方岩岳の山頂標識があるポイントに到着します。達成感を味わいたいところですが、実はここは観光用の展望ポイントであり、実際の山頂ではありません。ピークハント(山頂を制覇)したい方は、もうひと頑張りです!
冒険欲をかき立てる!秘められた「三方岩岳」に登頂
三方岩岳の山頂までのラスト区間は野趣に富んでいます。これまでの登山道とは雰囲気が変わり、適度にスリルを感じるトラバース(斜面に作られた細い道を歩くこと)が待っています。道沿いの紅葉も、引き続き素晴らしいです。
5分ほど歩くと、ついに三方岩岳の山頂に到達します。名前の由来となっているように、山頂は三方向が岩で構成されており、小さな岩場がその頂上を形成しています。視界は開けており、眺めの良さと、まるで吸い込まれるような高度感を楽しむことができます。ピークに到達したときの達成感もひとしおです。
山頂からは、妙法山(みょうほうざん、標高1,766m)を挟んで、白山へと続く壮大な稜線を一望できます。この稜線は「白山北縦走路」と呼ばれ、全長30キロメートルにも及ぶスケールの大きな登山道です。今回歩いたのはその一部ですが、白山の壮麗さに心を奪われること間違いありません。
絶景の三方岩岳を振り返る「馬狩荘司山」
白山白川郷ホワイトロードから気軽にアクセスできる「三方岩岳」は、登山初心者にもぴったりの山ですが、さらに挑戦したい方にはその先の山頂を目指すのもおすすめです。「馬狩荘司山(まかりしょうじやま、標高1,704m)」と「野谷荘司山(のだにしょうじやま、標高1,797m)」の2つの山頂があります。
馬狩荘司山までは、三方岩岳から徒歩約40分の道のりです。道中で振り返ると、途中で振り返ると、三方岩岳と紅葉が織りなす美しい景色が広がり、秋の色彩豊かな稜線を楽しむことができます。アップダウンのある道は歩き応えがあり、登山の醍醐味を味わえる絶好のルートです。
ダイナミックな山岳絶景に出会える「野谷荘司山」
馬狩荘司山から徒歩約30分で野谷荘司山に到達できます。この区間の見どころは、さらに壮大なスケールで広がる稜線と白山の絶景のコラボレーションです。山頂手前では、赤茶けた山肌が現れ、その背後には雄大な白山を望むことができます。自然の美しさとともに、力強い荒々しさも感じられるでしょう。
山頂に立つと、これまで歩んできた稜線を振り返ることができます。紅葉に染まった山肌は美しく、眼下には荘川が広がり、遠くには猿ヶ馬場山(さるがばんばやま、標高1,875m)などの山々がそびえています。場所は異なりますが、富山県の立山から黒部ダムを見下ろすような高山の情緒漂う雄大なパノラマが広がります。
白川郷にほど近い山々で、秋の絶景を楽しむ登山旅
今回は、世界遺産である白川郷の合掌造り集落に近い「三方岩岳」の登山をご紹介しました。白山白川郷ホワイトロードから手軽に登ることができ、麓では見られない鮮やかな山上の紅葉を堪能できます。体力に自信がある方は、馬狩荘司山や野谷荘司山をゴールに設定するのもおすすめです。ぜひこの秋に訪れてみてはいかがでしょうか?