【雪山登山入門】冬の養老山登山!絵画のような世界と御嶽山・伊吹山のパノラマ絶景を求めて
- 土庄雄平
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遭難のリスクが少なく、雪の量も適度で、歩行時間4時間〜6時間の無理のないコースが多いと、三拍子が揃っている山がたくさんあります。
今回は都市部からアクセスしやすく、手軽に雪山登山を楽しめる「養老山」をご紹介します。
冬の養老の滝から始まる雪山登山
その名の通り、岐阜県養老町の名峰「養老山(ようろうさん、標高859m)」。一帯には原生林が残っており、石灰岩地形の発達した滝谷の源流の山です。
東海環状自動車道・養老ICから車で約10分、養老公園駐車場(無料)に車を止めたら、養老公園の最奥にある「養老の滝」を目指して、いざ登山スタートです。
※雪山登山で押さえておきたいポイントは以下のページを参考にしてみてください。
序盤は雪の積もった遊歩道を進みます。降雪直後であれば、川まで雪で白く染まり、まるで水墨画の世界の様相。
朝のパリッとした寒さにもどこか趣を感じられます。まっさらな雪道ならではの、ふかふかとした雪の感触が楽しいです。
駐車場から歩いて15分ほどで、「養老の滝」に到着。雪が積もっている景観の中に、白絹のように落ちていく佇まいが優美です。
普段は簡単に辿り着ける滝ですが、雪で閉ざされることで秘境らしさが増します。さぁいよいよここからが本番です。
アイゼンを履いて樹林帯の道をトラバースする前半
養老の滝から一度、養老の滝駐車場のある舗装路に出ます。右手に進むと林道に接続し、登山口へと向かっていきます。
しばらく緩やかな林道を歩いていくと、一度川を渡るポイントが現れます。これが登山口の目印です。
登山口から約1時間ほど、急斜面を進む道が続きます。道幅も狭く足を滑らせると危ないため、アイゼン(金属製の爪が付いた靴底に装着する登山道具)を登る前に履いておくのがベターです。
途中、トラバース(山の斜面を横切って進むこと)をする区間もあり、なかなかスリリングです。足場だけしっかり固定できているか確認しながら進むようにしましょう。
雪山登山では、標高を上げるほど雪に深さが増していきます。標高1000mを超える山の場合、積雪量が多すぎてあまり進めず、時間的に登頂できないこともしばしば。
しかし養老山は適度な積雪量かつ登山者が多いため、雪山入門の方でも安心して登ることが可能です。
大パノラマの三方山と、御嶽山の山容が美しい中盤
登山開始から1時間30分ほどで、三方山と笹原峠の分岐に出てきます。養老山は笹原峠の方向ですが、三方山山頂(標高723m)はすぐそこなので、立ち寄ってみるのがオススメです。
景色がかなり開けている三方山の山頂。大垣から名古屋まで濃尾平野を一望でき、天気が良ければアルプスや白山の山並みまで眺めることができます。
降雪直後には一面が銀世界で、まるで北海道や東北など北日本にいるようなパノラマが広がります。青と白の織りなす景色を前に思わず立ち尽くしてしまうはず。
三方山から、次の山頂である小倉山に向かう区間はパノラマ稜線となっていて、木々の間に木曽の名峰「御嶽山(おんたけさん、標高3067m)」や濃尾平野を望みます。冬の稜線歩きはとても清々しいです。
また「こんな場所から標高3000m級の山が見えるんだ!?」と、空気が澄んでいる冬だからこその発見と感動がありますよ。
360度の眺望を誇る小倉山。劇的な後半へ
登山開始から2時間弱で、二つ目の山頂「小倉山(おぐらやま、標高841m)」へ取り付く最後の登りに到着します。ここまでくると、そこに広がるのは360度の大展望です。
低山でありながら、標高1000m以上の山に匹敵する高度感を備えています。極上の雪質を味わいながらパノラマ登山を楽しみましょう。
東屋が山頂の目印。そしてその先には、鈴鹿山脈の山並みが広がります。白く雪化粧をした山々は心洗われる美しさ。
岐阜県の中でも一番西に位置する養老山地ですが、実は360度にわたって数々の名峰を見渡せる稀有な山でもあります。
そして小倉山は、主峰の養老山(ようろうさん、標高859m)と最高峰の笙ヶ岳(しょうがたけ、標高908m)の間、V字状の場所に位置しています。両隣を山に挟まれ、向こうには白銀の峰々。
この地形こそがダイナミックな景色を味わえる理由と言えるでしょう。低山でありながら、引き込まれるような絶景が展開します。
まるで富士山のような伊吹山に出会いに。養老山登頂!
それでは三つ目の山頂である養老山へ向かいます。小倉山から約30分ほどですが、冬季には一番積雪の多いアドベンチャーな区間です。
通常、縦走(尾根伝いにいくつかの山頂を繋いで歩くこと)が難しい雪山ですが、養老山地では冬季縦走にチャレンジしやすいのも、雪山入門者にオススメしている理由です。
雪がかなり深いこともあるので注意して進みます。標高はかなり山頂に近いところまで来ているのであと少し。最後に少し急登があり、そこを登りきると山頂です。
山頂の景色は開けていないものの、雪に閉ざされて非日常な空間が広がっています。まるで水墨画のようなモノトーンの世界です。
一方で雪の養老山でみられる、とっておきの絶景が「伊吹山(いぶきやま、標高1377m)」の眺め。まるで富士山のように、綺麗な円錐形を誇る山が真っ白に染まり、凛と佇んでいます。
いかがでしたでしょうか。最後の最後まで絶景づくしの雪の養老山登山。冬用のウェアに靴、アイゼンなどの装備が必要ですが、無雪期とは異なる非日常の冒険が待っています。
ぜひチャレンジしてみてください。帰りに立ち寄る養老温泉も気持ち良いですよ。