地元レポーター発!旅のコラム

登山よりもハードル低く、山と自然を楽しむ!絶景の宝庫・岐阜が誇る「山歩スポット」10選

土庄雄平
土庄雄平
投稿日;
「山歩(さんぽ)」という言葉はご存知でしょうか?これは山や身のまわりの自然の中を気持ちよく歩くことを指し、登山GPSアプリを手がける「YAMAP(ヤマップ)」が提唱している山の楽しみ方です。あくまで山に登ることではなく、歩くことに主眼が置かれています。そこで今回は、バリエーションに富んだ自然が魅力の岐阜県から、トラベルライターの筆者がおすすめの「山歩コース」をご紹介!ジャンルごとに厳選しているので、ぜひチェックしてみてください。

【滝・渓谷編】マイナスイオンと緑に包まれる山歩

山歩コースとして取り上げられることの多い場所が「滝・渓谷」です。標高差が少なく歩きやすいコースが特徴で、緑に抱かれながらマイナスイオンが漂う迫力抜群の滝に出会う旅は、短い時間でも充足感を得ることができます。

付知峡|手軽に秘境渓谷を楽しむ

  • ターコイズブルーの淵をつくる観音滝
  • 水飛沫がつくりだす虹
  • 緑に覆われる橋の風景
  • 渓流に添えられるツツジの花
  • 入り口で冷やされているトマト

御嶽山(おんたけさん)系の雪解け水がもたらす、中津川市の景勝地「付知峡(つけちきょう)」。『森林浴の森日本100選』や『岐阜県の名水50選』にも選出され、心洗われる緑に包まれながら、爽快なハイキングを楽しむことが可能です。


中でも岩盤をつたって一直線に流れ落ちる「観音滝」は、思わず息を呑む美しさ。透き通った滝壺をつくりながら、轟音を渓流一体に響かせます。コースの標高差は100mもなく、一周20分〜30分ほど。歩き終わったら、入り口の湧水で冷やされた野菜をいただいてみては?

小坂の滝めぐり|御嶽山麓の壮大な自然に出会う

  • 三ツ滝を目指す渓谷遊歩道
  • 輝きながら流れ落ちる三ツ滝
  • ターコイズブルーの淵を作る、あかがねとよ
  • 柱状節理が見事な、からたに滝
  • 巌立峡(がんだてきょう)日本一の溶岩流の断面

御嶽溶岩流の大地が削られてできあがった、下呂市小坂(おさか)町にある大小200以上もの滝。それらをめぐる散策コースは「小坂の滝めぐり」という名称で親しまれています。ガイドの同行を基本としていますが、もっとも手軽な「三ツ滝コース」であれば、どなたでも自由に歩くことが可能です。


3段にわたる豪壮な「三ツ滝」に加えて、水量により滝が現れたり消えたりする「あかがねとよ」、柱状節理の岩盤をつたう「からたに滝」など見所も多く、距離は5km、時間は2時間弱と歩き応えも抜群です。御嶽登山道の旧1合目も、御嶽山麓の壮大なスケールを物語っています。

【展望台編】山歩の美味しいところ取り

手軽に素晴らしい景色を味わいたいなら「展望台」がおすすめです。飛騨地方まで足をのばせば、日本の屋根と呼ばれるアルプスの山並みを一望できる展望台や、雲海の名所として知られるスポットがあります。

アルプス展望公園 スカイパーク|銀嶺を見渡す一級の景色

  • 残雪の春、北アルプスの山並みを一望
  • アルプス展望公園 スカイパーク全景
  • 北アルプスに抱かれている高山を体感

高山市の中心部近くにあり、観光のついでに気軽に立ち寄れる展望台が「アルプス展望公園 スカイパーク」です。標高570mの高台にあり、高山市街地を見下ろすことができます。いつ訪れても比較的空いているのもポイントです。


そんなスカイパークの醍醐味は、町の背後に佇む「北アルプスの山並み」です。天気が良ければ、黒部五郎岳・双六岳・笠ヶ岳・槍ヶ岳・穂高連峰・焼岳・乗鞍岳など日本屈指の名峰を望むことができます。特に春には、残雪で輝く白銀の峰々がそびえ、思わず息を呑む絶景が広がります。

安峰山|飛騨古川が誇る雲海の名山

  • 壮大な雲海が広がる初秋の朝
  • 猪臥山と沸き立つ雲海
  • 雲海の切れ間から古川盆地を眺める
  • あの雲海の向こうには霊峰・白山

数々のアニメや映画の聖地として知られる飛騨古川の東方にある「安峰山(あんぼうさん、標高1,058m)」。片道約1時間半の登山スポットですが、実は山頂の展望台近くまで舗装路が通じており、車で手軽にアクセスすることができます。


年間を通じて素晴らしいパノラマを楽しめますが、イチオシは9月中旬以降。前日との寒暖差が大きく、湿度の高いよく冷え込んだ日の早朝には、雲の上にいるような雄大な雲海が広がります。白山や猪臥山(いぶしやま)といった周辺の山々との共演も見事です。

【山城編】城跡と自然をともに楽しむ山歩

全国的に見て素晴らしい「山城」が多いと言われる岐阜県。古来より軍事的・経済的に重要な役割を担った城下町が、今でも県内の随所に根付いています。山城に登ることで、地理や歴史も感じるロマンあふれる旅を楽しむことが可能です。

苗木城跡|天空の城と呼ばれる東濃の名城

  • 天空の城に相応しいロケーション
  • まるで天の上に続くような臨場感
  • 恵那山と中津川市街地を一望する絶景
  • 日没間際はドラマチックに

中津川市街地を一望する木曽川北岸の城山(標高432m)の山頂にある「苗木城」は、天空の城という愛称をもち、抜群のロケーションを誇る山城です。駐車場から徒歩約5分の観光名所ですが、麓の登山口から城跡を目指せば、往復約45分の手頃な山歩スポットになります。


素晴らしいのは、まるで天へ登っていくような散策路と、城跡の展望台から眺める絶景。目の前には東濃・中津川のシンボルである恵那山が佇み、恵那峡を介して市街地を一望できます。日没や雲海、雪の日などタイミングによって一期一会の風景が見られるのも魅力です。

岐阜城(金華山)|市民憩いの山へナイトハイキング

  • 長良川の向こうへ沈む、優しい夕日
  • 日没間際の静かな岐阜城
  • ラストは宝石のような夜景パノラマが待つ

岐阜市街のトレードマーク「岐阜城」が位置する金華山(標高329m)。ぎふ金華山ロープウェーで手軽にアクセスできるほか、さまざまな登山ルートが張り巡らされており、年間を通じて市民の憩いの登山スポットとして親しまれています。


そんな金華山でおすすめしたい楽しみ方は、ナイトハイキングです。岩戸公園北側駐車場から妙見峠を経由して、片道約40分で山頂へ。長良川の向こうへ沈んでいく夕日は見事で、日没後20分もすれば岐阜市街の宝石のような夜景を一望できます。往復約1時間というコースタイムもハードルを下げてくれるでしょう。

【湿原編】身も心も解放できる非日常の山歩

表情に富んだ岐阜県の自然の立役者が、県内にいくつか存在する「湿地」ではないでしょうか。山上に、唯一無二の自然庭園を作り上げ、四季の移ろいにあわせて、色合いや風景を変えていく姿は、実に見応えがあります。

天生湿原・カツラ門|世界遺産の裏山は絶景世界

  • 黄金の輝きを放つカツラ門
  • 錦絵のような秋の天生湿原
  • 爽やかな風が吹く夏の天生湿原
  • 道中に見られる壮大な天生峠の風景

世界文化遺産に登録されている白川郷の合掌造り集落と、飛騨市をつなぐ国道360号線・天生峠(あもうとうげ)から入山できる「天生県立自然公園」。一年の半分を雪で閉ざされるこの場所には、岐阜県を代表するスケールの大きさの原生林が広がっています。


籾糠山(もみぬかやま、標高1,744m)を目指せば、本格的な登山も楽しめますが、天生峠からすぐの場所でも、天生湿原やカツラ門など見所が多くあります。イチオシの季節は、紅葉が最盛期を迎える10月。まるで錦絵の中に足を踏み入れたような黄金色の世界が待っています。


※例年11月上旬から5月下旬まで国道360号は冬期通行止めとなります。

黒の田東湿地|東濃の里山に広がる尾瀬の風景

  • 山上にある秘密の湿原スポット
  • 5月に咲く艶やかなトウリンドウ
  • 湿原の遊歩道にはベンチもあり
  • 初夏に輝く、屏風山の鮮やかな樹林

瑞浪市と恵那市にまたがる屏風山(びょうぶざん/びょうぶやま、標高794m)にある隠れ山歩スポット「黒の田(くろのた)東湿地」です。メジャーな登山口である大草口から往復3時間半ほどで訪れることができます。


森に包まれる湿原の風景は鮮やか。日本を代表する高層湿原・尾瀬(おぜ)を彷彿とさせる景観が広がります。5月〜9月にかけて、トウリンドウやサギソウなど、さまざまな植物が見頃を迎える花の名所という顔も持っています。ぜひお弁当を持ってピクニックを楽しみに訪れてみてはいかがでしょうか?

【北アルプス編】アルプスのお膝元・岐阜の醍醐味と言えるパノラマ山歩

岐阜県を代表する山といえば、長野との県境をなしている「北アルプス」でしょう。少しハードルが高いと思われるかもしれませんが、実はバスやロープウェイで簡単にアクセスできます。気軽に日本屈指の山岳絶景を楽しめるのも、岐阜の山歩きの魅力と言えます。

魔王岳(乗鞍岳)|乗鞍畳平から15分で登れる絶景の山

  • まるでヨーロッパを思わせる絶景が広がる
  • 目の前に迫る穂高連峰
  • 雲の上の世界を歩く
  • 高山植物の女王・コマクサ
  • 乗鞍岳の登山基地・乗鞍畳平

岐阜と長野の県境にまたがる「乗鞍岳(のりくらだけ、標高3,026m)」。日本に23座しかない標高3,000m峰の一つですが、登山口である乗鞍畳平(標高約2,700m)までバスでアクセスでき、最も手軽に登れる北アルプスの高山の一つとして知られています。


最高峰・剣ヶ峰は本格的な登山装備が必要ですが、周囲にはいくつか入門編の山頂もあり、高山の世界を手軽に体験できるのも魅力です。中でもおすすめは、乗鞍畳平から往復できる「魔王岳(まおうだけ、標高2,764m)」。山頂からは槍ヶ岳と焼岳、そして乗鞍スカイラインを一望する絶景が待っています。


※乗鞍岳へはマイカー規制が行われております。バスまたはタクシーをご利用ください。

※冬季は通行止めです。最新情報は飛騨乗鞍観光協会の公式サイトをご覧ください。

頂の森(新穂高ロープウェイ)|新たにリニューアルされた絶景散策路

  • 槍の回廊に広がる、冬の西穂高岳と槍ヶ岳の絶景
  • 霧が晴れた瞬間には感動
  • ロープウェイで手軽に北アルプス山上へ
  • 6月に花を咲かせるミズバショウの大群落

ミシュラン2つ星として紹介されている、奥飛騨を代表する観光スポット「新穂高ロープウェイ」。2022年10月、ロープウェイの山頂駅となっている西穂高口駅の周辺エリアが、新たに「千石園地」から「頂の森」へリニューアルされました。


目玉となっているのは「槍の回廊」。ブーメラン状に張り出したデッキから、標高日本5位の槍ヶ岳(標高3,180m)を眺めることができます。散策路では年間を通じて素晴らしい景色に出会えますが、イチオシは雪に閉ざされる冬。ロープウェイで楽々アクセスし、白銀の北アルプスを眺める山歩は一興です。

表情豊かな自然が根付く岐阜を山歩しよう!

  • 原生林が絵になる付知峡

いかがでしたでしょうか?今回は、今話題となっている山の楽しみ方「山歩」と、おすすめコースを10種ご紹介してみました。山と聞くと体力が必要というイメージがあるかもしれませんが、山歩という楽しみ方は山へ行くハードルを下げてくれます。


全国的に見ても、本当に表情豊かな自然が根付いている岐阜県。ぜひ四季折々の自然を「山歩」を通じて味わってみてください!

この記事のレポーター

土庄雄平
土庄雄平
1993年生まれ、愛知県豊田市出身。会社員のかたわら、山岳自転車旅ライターとして活動する。飛騨地方の雪山が大好物。春は北アルプス麓の桜に見惚れ、夏は清流と瀑布に涼み、秋は霊峰白山の紅葉に抱かれる。

記事一覧

初心者にも最適!​​岐阜県の絶景・登山スポット10選 美濃から北アルプスまでご紹介
初心者にも最適!​​岐阜県の絶景・登山スポット10選 美濃から北アルプスまでご紹介
more
「この道、バイクで走りたい!」四季折々美しい、岐阜の道5選
「この道、バイクで走りたい!」四季折々美しい、岐阜の道5選
more
岐阜の登山・ハイキングスポット5選。心洗われる緑の絶景に出会う山旅
岐阜の登山・ハイキングスポット5選。心洗われる緑の絶景に出会う山旅
more
家族旅行デビュー!赤ちゃんと「下呂温泉 小川屋」で過ごす1泊2日の宿泊体験記
家族旅行デビュー!赤ちゃんと「下呂温泉 小川屋」で過ごす1泊2日の宿泊体験記
more

関連記事

いま読まれている人気記事

飛騨高山ご当地グルメ!~高山ラーメン(中華そば)6選~
飛騨高山ご当地グルメ!~高山ラーメン(中華そば)6選~
国内屈指の観光地、飛騨高山を訪れたら、絶対におさえておきたいのがご当地グルメの「高山ラーメン(中華そば)」です!

地元民には昔から「中華そば」や「そば」という呼び名で親しまれ、日常的に食べられているご当地ラーメン。人気アニメ映画『君の名は。』の中で、主人公達が「高山ラーメン」を注文していたことから注目が集まり、観光客や県外のお客様には「高山ラーメン」という呼び名が浸透していったとの情報もあります。
とは言っても、「高山ラーメン」を提供している老舗店のほとんどが「中華そば」とのれんを出しているため、お店を探す際はご注意ください。

飛騨高山にたくさんある「高山ラーメン」店ですが、馴染みのお店を決めてしまうと、どうしてもそこへ通ってしまいがち…(筆者である私は、家族の影響もあり子供の頃から老舗店「まさごそば」一択でした)。今回は馴染みのお店から飛び出して、私が実際に食べ歩いたオススメ店を6店ご紹介します!(個人の感想です)

この記事内に掲載されていない、おいしいお店はまだまだたくさんありますので、イチ参考としていただき、お好きな「高山ラーメン」食べ歩きを楽しんでください!
more
センスの良いお菓子で喜ばせたい!岐阜の今っぽい手土産10選
センスの良いお菓子で喜ばせたい!岐阜の今っぽい手土産10選
昔から定番の岐阜の手土産もいいけれど、友人や取引先など大切な人への送りものをするからには、最新でセンスの良いものを選びたいですよね。岐阜では現代のニーズに合わせてアップデートされた老舗菓子店のお菓子や、新進気鋭の新店などが続々と誕生しています。今回はその中から特におすすめの10商品をご紹介します。
more
岐阜県で栗スイーツが楽しめるカフェBEST5!
岐阜県で栗スイーツが楽しめるカフェBEST5!
恵那市や中津川市など栗の産地として有名な地域がある岐阜県では、さまざまな栗スイーツが販売されています。岐阜の栗スイーツといえば、昔から「栗きんとん」が有名ですが、他にも「モンブラン」「栗のおしるこ」など、おいしい栗スイーツがたくさんあります!
今回は、岐阜県内でおいしい栗スイーツを取り扱っているカフェの中から、私が選んだ「オススメの栗スイーツカフェ」をご紹介いたします!
more

オススメのPick Up 記事

絶景!夜の東光寺「秋の特別拝観ライトアップ」
絶景!夜の東光寺「秋の特別拝観ライトアップ」
「東光寺」は、500年以上の歴史を誇る臨済宗の禅寺です。
境内では「ドウダンツツジ」と苔庭が美しく四季折々の景観を彩り、特に「ドウダンツツジ」が真っ赤に色づく紅葉シーズンは多くの方で賑わいます。

現在、東光寺では「人が行き交うお寺」を目指して、様々なワークショップや企画が開催されています。今回は、昨年から開催されている「秋の特別拝観ライトアップ」の様子を紹介させていただきます。


【東光寺】
◆住所:岐阜県山県市小倉618-41
◆電話番号:0581-36-3005
more
岐阜県の最南端!海津市で水の歴史にふれる旅
岐阜県の最南端!海津市で水の歴史にふれる旅
岐阜県の長良川沿いに車を南へ走らせると、河口に近づくにつれてどんどん川幅が広くなります。その先はもう三重県。お隣は愛知県です。

心地よい風が吹くと川面にさざ波が立って、陽の光がキラキラと反射します。

私たちがこの穏やかな景色を楽しめるのは、先人達のお陰と言っても過言ではありません。
今回は、水との闘いをへて水との調和をめざす岐阜県海津市をご紹介します。

more
池田山麓で飛んでみた!パラグライダー体験と地元スイーツ
池田山麓で飛んでみた!パラグライダー体験と地元スイーツ
岐阜県揖斐郡池田町にある池田山は、ハンググライダーやパラグライダーなどスカイスポーツのメッカ。天気のよい日には、カラフルな翼が大空を舞う姿が見られます。

『天空の城ラピュタ』や『風の谷のナウシカ』など、ジブリアニメに出てくる空を駆けるシーン。鳥のように空を飛ぶことができたら、どんなに素敵でしょう。

そこで、初心者でも楽しめるパラグライダー体験に挑戦してみました!
more