登山よりもハードル低く、山と自然を楽しむ!絶景の宝庫・岐阜が誇る「山歩スポット」10選
- 土庄雄平
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【滝・渓谷編】マイナスイオンと緑に包まれる山歩
山歩コースとして取り上げられることの多い場所が「滝・渓谷」です。標高差が少なく歩きやすいコースが特徴で、緑に抱かれながらマイナスイオンが漂う迫力抜群の滝に出会う旅は、短い時間でも充足感を得ることができます。
付知峡|手軽に秘境渓谷を楽しむ
御嶽山(おんたけさん)系の雪解け水がもたらす、中津川市の景勝地「付知峡(つけちきょう)」。『森林浴の森日本100選』や『岐阜県の名水50選』にも選出され、心洗われる緑に包まれながら、爽快なハイキングを楽しむことが可能です。
中でも岩盤をつたって一直線に流れ落ちる「観音滝」は、思わず息を呑む美しさ。透き通った滝壺をつくりながら、轟音を渓流一体に響かせます。コースの標高差は100mもなく、一周20分〜30分ほど。歩き終わったら、入り口の湧水で冷やされた野菜をいただいてみては?
小坂の滝めぐり|御嶽山麓の壮大な自然に出会う
御嶽溶岩流の大地が削られてできあがった、下呂市小坂(おさか)町にある大小200以上もの滝。それらをめぐる散策コースは「小坂の滝めぐり」という名称で親しまれています。ガイドの同行を基本としていますが、もっとも手軽な「三ツ滝コース」であれば、どなたでも自由に歩くことが可能です。
3段にわたる豪壮な「三ツ滝」に加えて、水量により滝が現れたり消えたりする「あかがねとよ」、柱状節理の岩盤をつたう「からたに滝」など見所も多く、距離は5km、時間は2時間弱と歩き応えも抜群です。御嶽登山道の旧1合目も、御嶽山麓の壮大なスケールを物語っています。
【展望台編】山歩の美味しいところ取り
手軽に素晴らしい景色を味わいたいなら「展望台」がおすすめです。飛騨地方まで足をのばせば、日本の屋根と呼ばれるアルプスの山並みを一望できる展望台や、雲海の名所として知られるスポットがあります。
アルプス展望公園 スカイパーク|銀嶺を見渡す一級の景色
高山市の中心部近くにあり、観光のついでに気軽に立ち寄れる展望台が「アルプス展望公園 スカイパーク」です。標高570mの高台にあり、高山市街地を見下ろすことができます。いつ訪れても比較的空いているのもポイントです。
そんなスカイパークの醍醐味は、町の背後に佇む「北アルプスの山並み」です。天気が良ければ、黒部五郎岳・双六岳・笠ヶ岳・槍ヶ岳・穂高連峰・焼岳・乗鞍岳など日本屈指の名峰を望むことができます。特に春には、残雪で輝く白銀の峰々がそびえ、思わず息を呑む絶景が広がります。
安峰山|飛騨古川が誇る雲海の名山
数々のアニメや映画の聖地として知られる飛騨古川の東方にある「安峰山(あんぼうさん、標高1,058m)」。片道約1時間半の登山スポットですが、実は山頂の展望台近くまで舗装路が通じており、車で手軽にアクセスすることができます。
年間を通じて素晴らしいパノラマを楽しめますが、イチオシは9月中旬以降。前日との寒暖差が大きく、湿度の高いよく冷え込んだ日の早朝には、雲の上にいるような雄大な雲海が広がります。白山や猪臥山(いぶしやま)といった周辺の山々との共演も見事です。
【山城編】城跡と自然をともに楽しむ山歩
全国的に見て素晴らしい「山城」が多いと言われる岐阜県。古来より軍事的・経済的に重要な役割を担った城下町が、今でも県内の随所に根付いています。山城に登ることで、地理や歴史も感じるロマンあふれる旅を楽しむことが可能です。
苗木城跡|天空の城と呼ばれる東濃の名城
中津川市街地を一望する木曽川北岸の城山(標高432m)の山頂にある「苗木城」は、天空の城という愛称をもち、抜群のロケーションを誇る山城です。駐車場から徒歩約5分の観光名所ですが、麓の登山口から城跡を目指せば、往復約45分の手頃な山歩スポットになります。
素晴らしいのは、まるで天へ登っていくような散策路と、城跡の展望台から眺める絶景。目の前には東濃・中津川のシンボルである恵那山が佇み、恵那峡を介して市街地を一望できます。日没や雲海、雪の日などタイミングによって一期一会の風景が見られるのも魅力です。
岐阜城(金華山)|市民憩いの山へナイトハイキング
岐阜市街のトレードマーク「岐阜城」が位置する金華山(標高329m)。ぎふ金華山ロープウェーで手軽にアクセスできるほか、さまざまな登山ルートが張り巡らされており、年間を通じて市民の憩いの登山スポットとして親しまれています。
そんな金華山でおすすめしたい楽しみ方は、ナイトハイキングです。岩戸公園北側駐車場から妙見峠を経由して、片道約40分で山頂へ。長良川の向こうへ沈んでいく夕日は見事で、日没後20分もすれば岐阜市街の宝石のような夜景を一望できます。往復約1時間というコースタイムもハードルを下げてくれるでしょう。
【湿原編】身も心も解放できる非日常の山歩
表情に富んだ岐阜県の自然の立役者が、県内にいくつか存在する「湿地」ではないでしょうか。山上に、唯一無二の自然庭園を作り上げ、四季の移ろいにあわせて、色合いや風景を変えていく姿は、実に見応えがあります。
天生湿原・カツラ門|世界遺産の裏山は絶景世界
世界文化遺産に登録されている白川郷の合掌造り集落と、飛騨市をつなぐ国道360号線・天生峠(あもうとうげ)から入山できる「天生県立自然公園」。一年の半分を雪で閉ざされるこの場所には、岐阜県を代表するスケールの大きさの原生林が広がっています。
籾糠山(もみぬかやま、標高1,744m)を目指せば、本格的な登山も楽しめますが、天生峠からすぐの場所でも、天生湿原やカツラ門など見所が多くあります。イチオシの季節は、紅葉が最盛期を迎える10月。まるで錦絵の中に足を踏み入れたような黄金色の世界が待っています。
※例年11月上旬から5月下旬まで国道360号は冬期通行止めとなります。
黒の田東湿地|東濃の里山に広がる尾瀬の風景
瑞浪市と恵那市にまたがる屏風山(びょうぶざん/びょうぶやま、標高794m)にある隠れ山歩スポット「黒の田(くろのた)東湿地」です。メジャーな登山口である大草口から往復3時間半ほどで訪れることができます。
森に包まれる湿原の風景は鮮やか。日本を代表する高層湿原・尾瀬(おぜ)を彷彿とさせる景観が広がります。5月〜9月にかけて、トウリンドウやサギソウなど、さまざまな植物が見頃を迎える花の名所という顔も持っています。ぜひお弁当を持ってピクニックを楽しみに訪れてみてはいかがでしょうか?
【北アルプス編】アルプスのお膝元・岐阜の醍醐味と言えるパノラマ山歩
岐阜県を代表する山といえば、長野との県境をなしている「北アルプス」でしょう。少しハードルが高いと思われるかもしれませんが、実はバスやロープウェイで簡単にアクセスできます。気軽に日本屈指の山岳絶景を楽しめるのも、岐阜の山歩きの魅力と言えます。
魔王岳(乗鞍岳)|乗鞍畳平から15分で登れる絶景の山
岐阜と長野の県境にまたがる「乗鞍岳(のりくらだけ、標高3,026m)」。日本に23座しかない標高3,000m峰の一つですが、登山口である乗鞍畳平(標高約2,700m)までバスでアクセスでき、最も手軽に登れる北アルプスの高山の一つとして知られています。
最高峰・剣ヶ峰は本格的な登山装備が必要ですが、周囲にはいくつか入門編の山頂もあり、高山の世界を手軽に体験できるのも魅力です。中でもおすすめは、乗鞍畳平から往復できる「魔王岳(まおうだけ、標高2,764m)」。山頂からは槍ヶ岳と焼岳、そして乗鞍スカイラインを一望する絶景が待っています。
※乗鞍岳へはマイカー規制が行われております。バスまたはタクシーをご利用ください。
※冬季は通行止めです。最新情報は飛騨乗鞍観光協会の公式サイトをご覧ください。
頂の森(新穂高ロープウェイ)|新たにリニューアルされた絶景散策路
ミシュラン2つ星として紹介されている、奥飛騨を代表する観光スポット「新穂高ロープウェイ」。2022年10月、ロープウェイの山頂駅となっている西穂高口駅の周辺エリアが、新たに「千石園地」から「頂の森」へリニューアルされました。
目玉となっているのは「槍の回廊」。ブーメラン状に張り出したデッキから、標高日本5位の槍ヶ岳(標高3,180m)を眺めることができます。散策路では年間を通じて素晴らしい景色に出会えますが、イチオシは雪に閉ざされる冬。ロープウェイで楽々アクセスし、白銀の北アルプスを眺める山歩は一興です。
表情豊かな自然が根付く岐阜を山歩しよう!
いかがでしたでしょうか?今回は、今話題となっている山の楽しみ方「山歩」と、おすすめコースを10種ご紹介してみました。山と聞くと体力が必要というイメージがあるかもしれませんが、山歩という楽しみ方は山へ行くハードルを下げてくれます。
全国的に見ても、本当に表情豊かな自然が根付いている岐阜県。ぜひ四季折々の自然を「山歩」を通じて味わってみてください!