地元レポーター発!旅のコラム

これは見ておきたい!岐阜にある美しい現代建築9選

各務ゆか
各務ゆか
投稿日;
岐阜には有名建築家が設計した建物がたくさんあります。温泉や自然を楽しむ岐阜の旅もいいですが、県内のクールな現代建築の美しさをまとった建物を巡る旅もおすすめ。岐阜の景観ともマッチした建築物は写真を撮っても映えること間違いなし!
そこで今回は県内の素晴らしい現代建築を9つご紹介します。

1.安藤忠雄氏設計「長良川国際会議場」/岐阜市

まずはじめにご紹介するのは、岐阜市の長良川沿いにある「長良川国際会議場」です。

設計者は世界的な建築家、安藤忠雄氏。長良川や金華山といった自然景観に溶け込むように考えられているとのことで、建物と一緒に景色を見ると、さらに映えて見えてくるから不思議です。

吹き抜けになっている神殿のようなエントランスを抜け、ぐるぐるとコンクリート調の建物の中を歩くと最上階の卵型ドームの国際会議室に入ることができます。外の階段もローマのスペイン広場の階段を思わせる造りで、ここで一休みしてしまいたくなる雰囲気があります。

2.伊東豊雄氏設計「みんなの森 ぎふメディアコスモス」/岐阜市

2015年にオープンした「みんなの森 ぎふメディアコスモス」。岐阜市立中央図書館のほか展示ギャラリーやホールがあるなど、誰もが利用できる複合文化施設になっていますが、特筆すべきは、東濃のひのきを多用した美しい建物であることです。設計は伊東豊雄氏。設備と一体のデザインで日本家屋のような風通しのよい建築を目指されたそうです。

ぜひ見ておきたいのが2階の図書館。波打つ木製の天井から半透明のろうと型のグローブが吊り下げられています。そこから漏れる光がやわらかな印象で、とても落ち着く空間になっています。

2021年5月、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の向かいに18階建ての「岐阜市役所新庁舎」ができました。その建物の15階と17階に展望室スペース「つかさデッキ」があり、上からみるメディアコスモスの屋根も幾何学模様のようで美しいのでおすすめです。

3.藤森照信氏設計「モザイクタイルミュージアム」/多治見市

モザイクタイル全国一位の生産量を誇る多治見市笠原町にある「モザイクタイルミュージアム」。すり鉢状の緑の斜面に立てられた施設は、粘土を掘り出す採掘場がイメージできる小山のようになっています。設計は、タンポポハウスやラコリーナ近江八幡でも知られる独創的な建築作品で評価の高い藤森照信氏。近づくと壁面には茶碗やタイルなどが埋め込まれていて、ミュージアムに入る前からわくわくが止まりません。

ミュージアム内は登り窯を連想させる階段が続き、登り切った4階の展示室では、丸い穴が空いた天井にモザイクタイルが続く「タイル・カーテン」も展示されています。

4.磯崎新氏設計「セラミックパークMINO」/多治見市

陶磁器をテーマにした施設で岐阜県現代陶芸美術館も有する「セラミックパークMINO」。こちらは建築界のノーベル賞とも呼ばれるプリツカ―賞を受賞したこともある磯崎新氏によるものです。多治見の丘陵地帯に建てられ、自然環境との調和を意識した設計になっているのが特徴で、建物からも草木や鳥や動物の鳴き声を楽しむことができます。

山の斜面を生かして作られた美しい人工滝が背景の山の中に自然と溶け込み、とても素敵です。

建物の最上部には水面に浮かんでいるような茶室もあり、予約をすれば借りることも可能です。

5.リチャード・ロジャース パートナーシップ ジャパン設計「テクノプラザ本館」/各務原市

各務原市に整備されている先進情報産業団地「テクノプラザ」。貸出会議室や図書資料室なども併設された「テクノプラザ本館」はイギリスの建築家であるリチャード・ロジャーズ氏によって設計されたものです。コンセプトは自然環境と先端技術の融合。建物は地形に沿った平面の北棟と、傾斜地を生かした3層の階段状になった南棟によって構成されています。

館内に入ると近未来の世界にアプローチされたかのような空間が広がっています。南棟のエントランスホール中央は丸形の天窓で自然光が降り注いでおり、この施設の象徴的な場所になっています。

6.磯崎新氏が選出した女性建築家4名による「ハイタウン北方」/北方町

磯崎新氏がコーディネーターになり、妹島和世氏、高橋晶子氏、クリスティン・ホーリィ氏、エリザベス・ディラー氏の女性建築家4名によってそれぞれの棟が設計された岐阜県営住宅の「ハイタウン北方」。

遠くから見るとシンプルな外観のように見えても、近くで見るとカラフルな壁になっていたりと細かなこだわりを感じることができます。

折れ線グラフのように外に飛び出した階段や、美しい連続のベランダがあるなど洗練されたデザインの団地建物が並びます。


県営住宅で実際に住んでいらっしゃる方もいるため、住人に配慮して敷地外から見学するようにしましょう!

7.磯崎新氏設計「北方町ホリモク生涯センター きらり」/北方町

ハイタウン北方の北ブロックA棟に増設する形で建てられた「北方町ホリモク生涯センター きらり」。こちらはハイタウン北方自体を総合コーディネートした磯崎新氏による設計の建物です。


建物の屋根は、鉄筋コンクリート造による自由曲面シェルと呼ばれる構造になっているのが最大の特徴です。

中には円形の「ホリモクきらりホール」があり、客席が近く一体感が感じられる空間になっています。

8.シーラカンスアンドアソシエイツと武藤圭太郎氏設計「北方町新庁舎」/北方町

ハイタウン北方のすぐ北側にある「北方新庁舎」。東京・名古屋を拠点にしているシーラカンスアンドアソシエイツと岐阜を拠点に活躍する武藤圭太郎氏の共同設計がプロポーザルにて選ばれて竣工されてました。

角度が付いた大きな屋根が特徴で“大屋根の下に人々が集う開放的な庁舎”がテーマになっています。

内部では大屋根の切れ目から光が降り注ぎ、3層の吹き抜け構造になっているので開放感があります。モダンな内装に岐阜県産の木材を使用した家具が配置されたおしゃれな空間です。

こちらの建物は、中部建築賞、日本建築学会作品選奨を受賞しています。

9.高松伸氏設計「西福寺」/可児市

可児市にある臨済宗妙心寺派「西福寺」。境内にある本堂は、キリンプラザ大阪や植田正治写真美術館などで有名な高松伸氏によって設計されています。1982年竣工で高松氏の初期の頃の貴重な作品の一つです。黒御影石に支えられたコンクリートの柱が続くファサードが印象的。ギリシャのパルテノン神殿のスケッチを何枚も重ねた高松氏の趣向が見てとれます。


本堂内への参拝も可能で、寺院に事前に連絡すると建築にまつわる資料も用意されています。わずか20メートルほどの奥行の中に宗教的な高揚が感じられる空間が広がっています。

この記事のレポーター

各務ゆか
各務ゆか
東京や名古屋の出版社に勤務後2014年に地元岐阜にUターン。ライターとして雑誌やWEBで執筆を行う。県内を思いつくままにドライブして地元情報を探すのが大好き。“岐阜ってこんなにすごい”を伝えるために日々奮闘中。

記事一覧

センスの良いお菓子で喜ばせたい!岐阜の今っぽい手土産10選
センスの良いお菓子で喜ばせたい!岐阜の今っぽい手土産10選
more
ご当地スーパーで買える「岐阜のお土産」。おすすめ8選
ご当地スーパーで買える「岐阜のお土産」。おすすめ8選
more
工場見学&パン食べ放題モーニングが人気!岐阜・羽島市「まもるんパン」
工場見学&パン食べ放題モーニングが人気!岐阜・羽島市「まもるんパン」
more
一般道からも利用できる「養老SA下り」!ここでしか食べられない限定グルメも!
一般道からも利用できる「養老SA下り」!ここでしか食べられない限定グルメも!
more

関連記事

いま読まれている人気記事

センスの良いお菓子で喜ばせたい!岐阜の今っぽい手土産10選
センスの良いお菓子で喜ばせたい!岐阜の今っぽい手土産10選
昔から定番の岐阜の手土産もいいけれど、友人や取引先など大切な人への送りものをするからには、最新でセンスの良いものを選びたいですよね。岐阜では現代のニーズに合わせてアップデートされた老舗菓子店のお菓子や、新進気鋭の新店などが続々と誕生しています。今回はその中から特におすすめの10商品をご紹介します。
more
飛騨高山ご当地グルメ!~高山ラーメン(中華そば)6選~
飛騨高山ご当地グルメ!~高山ラーメン(中華そば)6選~
国内屈指の観光地、飛騨高山を訪れたら、絶対におさえておきたいのがご当地グルメの「高山ラーメン(中華そば)」です!

地元民には昔から「中華そば」や「そば」という呼び名で親しまれ、日常的に食べられているご当地ラーメン。人気アニメ映画『君の名は。』の中で、主人公達が「高山ラーメン」を注文していたことから注目が集まり、観光客や県外のお客様には「高山ラーメン」という呼び名が浸透していったとの情報もあります。
とは言っても、「高山ラーメン」を提供している老舗店のほとんどが「中華そば」とのれんを出しているため、お店を探す際はご注意ください。

飛騨高山にたくさんある「高山ラーメン」店ですが、馴染みのお店を決めてしまうと、どうしてもそこへ通ってしまいがち…(筆者である私は、家族の影響もあり子供の頃から老舗店「まさごそば」一択でした)。今回は馴染みのお店から飛び出して、私が実際に食べ歩いたオススメ店を6店ご紹介します!(個人の感想です)

この記事内に掲載されていない、おいしいお店はまだまだたくさんありますので、イチ参考としていただき、お好きな「高山ラーメン」食べ歩きを楽しんでください!
more
冬の飛騨高山 お出かけスポット10選!
冬の飛騨高山 お出かけスポット10選!
冬の飛騨高山には、冬季限定の絶景がいっぱい!厳しい寒さと人の温かさが生み出す、情緒あふれる景色をぜひご覧ください。
今回は高山市内7ヶ所と、隣接する飛騨市、下呂市、白川村からそれぞれ1ヶ所ずつ、オススメのお出かけスポットをご紹介します!
飛騨の冬はとても寒く雪深いので、防寒対策を万全にして、冬ならではの飛騨をご堪能ください。
more

オススメのPick Up 記事

母なる御嶽山の恵みを感じて。飛騨小坂(ひだおさか)E-Bikeサイクリングツアー体験記
母なる御嶽山の恵みを感じて。飛騨小坂(ひだおさか)E-Bikeサイクリングツアー体験記
令和5年6月に「NEXT GIFU HERITAGE~岐阜未来遺産~」に認定された飛騨小坂(ひだおさか)。この町は、飛騨高山と下呂温泉の間に位置し、御嶽山をはじめとする山々や川に囲まれた自然豊かな地域です。2025年には、そんな飛騨小坂の魅力を体験できる新たなアクティビティとして、E-Bikeツアーが誕生します。今回、そのツアーを一足早く体験してきましたので、その様子をレポートしたいと思います。
more
雪見温泉とここだけの絶景が待つオフシーズン!冬の奥飛騨ならではの魅力と楽しみ方をご紹介
雪見温泉とここだけの絶景が待つオフシーズン!冬の奥飛騨ならではの魅力と楽しみ方をご紹介
日本屈指の温泉湧出量を誇っている奥飛騨温泉郷。北アルプスの山々に抱かれた秘境にあり、季節ごとに豊かな表情変化がを見せてくれます。中でも冬は一面の銀世界が広がり、他の季節では味わえない特別な体験が待っています。雪見温泉で心身ともに温まりながら、ここだけでしか見られない絶景を堪能してみませんか?今回は、冬の奥飛騨だからこそ味わえる楽しみ方と、その魅力を余すことなくご紹介します。
more
新企画棟「スペースボックス」がオープン!岐阜かかみがはら航空宇宙博物館
新企画棟「スペースボックス」がオープン!岐阜かかみがはら航空宇宙博物館
「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」は、愛称「空宙博(そらはく)」と呼ばれ、航空や宇宙について学ぶことができる場所です。

展示面積9900平方メートル、実機41機、実物大模型15機の計56機を展示し、本格的な航空と宇宙に関する国内唯一の専門博物館。

航空ファンでなくても、空や宇宙へのあこがれを思い起こさせてくれる岐阜の誇りです。

このほど館内に待望の企画棟が新設されました。早速、中をのぞいてみることにしましょう。

more